一日に数十万円を稼ぐスターを続々輩出する一方、過激化する内容を当局が規制する事態となるなど、波乱が続く中国のインターネット生配信業界に、海外からの参入が相次いでいる。
6月15日付中国今頭新聞によると、韓国人の女性生放送主(生放送の配信者)が「チャイナドリーム」を夢見て中国のネット上で続々と生配信を開始しており、その数はすでに1万人を超えているという。
中国最大規模のネット放送配信サイト『熊猫TV』は昨年、韓国で人気の女性生放送主、尹素婉をはじめとした多くの韓国人女性と契約。中国国内のネットユーザーに向けて生配信をさせている。
中国人視聴者からも、「歌やダンスのレベルが高く、拙い中国語ながらも一生懸命コミュニケーションを取ろうとしていて、好感度は非常に高い」「配信中にステマをすることもなく、純粋な生配信として楽しめる」と、韓国人生放送主に対する評価は高いようだ。
昨年10月には、ある韓国人女性生放送主が、一日に10万元(約165万円)を超える「投げ銭」を中国人視聴者から受け取ったことも話題となった。
実は、そんな韓国人女性生放送主の中国上陸の陰には、ある政財界の大物の姿がある。中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は次のように話す。
「大勢の韓国人女性生放送主を積極的に誘致している熊猫TVのトップは、中国最大規模の企業グループ・大連万達集団(ワンダグループ)の御曹司で、『国民の夫』と呼ばれている王思聡。彼自身、韓国アイドル好きとして有名で、女性歌手グループT-ARAとは中国でのマネジメント契約を締結している。熊猫TVでは、地下アイドルのような素人同然の韓国人女性たちに、北京語や歌や踊りなどのトレーニングを施し、中国人男性に愛される女性生放送主に育てあげているようです」
万達といえば、中国各地に展開する大型娯楽施設内で、ディズニーの偽キャラクターを展示し、6月16日にオープンした上海ディズニーランドから抗議を受けたことでも話題となったばかり。同グループの会長で総資産3兆円ともいわれる王健林は、思聡の父親である。
韓国アイドル好きが高じたお坊ちゃんの道楽にすぎないのかもしれないが、韓国にいながらにして人口が韓国の20倍以上という中国市場で活動でき、しかもバックに中国最大の企業グループがついているとあれば、生放送主本人や芸能事務所にとっても魅力的な話だろう。日本の売れない地下アイドルたちの参入が始まるのも、それほど先の話ではないかもしれない。
(文=広瀬賢)