韓国南部に浮かぶ済州島といえば、その温暖な気候から、「韓国のハワイ」とも呼ばれるリゾート地だ。しかし近年では、大型カジノが続々と開業しており、「韓国のラスベガス」としての側面もある。
輸出業の低迷が続くなか、カジノで外貨を獲得しようとする韓国が、特に力を入れているのが、中国人客の誘致だ。2007年から済州島に直接来る中国人に対してはビザ免除の処置を実施。その結果、今では済州島を訪れる観光客のほとんどが中国人になっている。中国中央電視台の報道によると、済州島に8カ所あるカジノを訪れる賭博客の約8割を中国人が占めているという。
そうなると当然、カジノ間での中国人客引き合戦が始まる。どのカジノも、あの手この手で中国人客を呼びこもうとしており、中でも巨額の賭け金で遊ぶ大金持ち、いわゆる「ハイローラー」を呼び込もうと必死になっている。
「ハイローラーに対して優遇サービスを提供することは、カジノの世界では普通のこと。アメリカのラスベガスでも、常連のハイローラーに対してホテル宿泊無料やプライベートジェットでの送り迎え、ファーストクラスの往復航空券など、“コンプ”と呼ばれるさまざまなサービスを提供しています。こういった客は一晩で数百万円どころか、数千万円をギャンブルで使ったりしますから、カジノ側にとっては、高額サービスを提供しても損はしません」(カジノ業界に精通する全国紙記者)
済州島のカジノの場合、無料航空チケットや無料ホテル宿泊、観光のほかに、10万元(約190万円)分のチップを交換するとマッサージサービスを1回受けることができ、20万元(約380万円)分のチップだと二流タレントまたはモデルの“サービス”を1回、50万元(約950万円)分のチップ交換ともなると、2泊3日24時間つきっきりのサービスが受けられるようになっているのだという。サービスの具体的内容については記述がないが、言わずもがなだろう。