“年収減少”期突入の今、逆転の発想で将来の収入増につなげる4つの行動
あなたのお金の基本ルールを考えるとき、常に「今」という時代の変化に対応していく必要があります。例えば、電子マネーや家計簿アプリなど新しい技術が活用できるなら、それを使うべきです。
そして、私たちはかつてない新しい「今」に直面しています。そう、新型コロナウイルスの影響を踏まえた「ニューノーマル(新しい日常)」とどう向き合っていくかです。職場でテレワークが一気に進んだり、同僚との距離を空けた配置になったり、仕事環境の変化も多かったと思いますが、さらに考えなければならないのは「あなたのお金のニューノーマル」です。日本では「新しい生活様式」という言葉を使っていますから、これに言い換えれば「あなたのお金の生活様式」ということになります。
そして今、緊急に向き合わなければいけないのは「年収減少とつきあう」ということです。毎月の給料が減っていたり、ボーナスがどうやら減りそうなとき、どうやってお金の問題と向き合っていくべきでしょうか。
今回は4つのサバイバル術を考えてみます。
年収減少時代の生き方1:節約スキルをアップせよ
今すぐあなたが身につけなければいけないのは、やはり節約のスキルでしょう。とにかく安くあげる、とにかく安く暮らすことに試行錯誤して、年収が下がろうともなんとかやりくりする術を身につけなければなりません。
まずは3つのポイントで節約をしてみましょう。
1.「同じものを、より安く」……検索するなり、足で他店もチェックするなり、安値にこだわること
2.「いらないものは、しばらく買わない」……生活必需品以外の消費は収入減少の時期にはなるべく買わない
3.「お金を使うなら、元を取る(コスパを意識する)」……ときどきストレス解消にお金を使う場合は、使ってかまわないが、ちゃんと楽しんで元を取ること
この3つを意識して買い物をしてみましょう。しばらくの間、なんとなくお会計することは禁止です。今は大変な時期が続きます。しかし節約は必死になっているとき、一番スキルが身につきますので、思い切って削れるところまで削ってみましょう。ぜひ、この経験を一生使えるノウハウにしましょう。
年収減少時代の生き方2:ボーナス依存の生活を見直せ
次に覚悟するべきは「夏ボーナス」対応です。今年の夏、あなたの会社が好業績ではない限り、ボーナスは厳しいと思ってください。個人的に業績が良くても、会社が悪ければプラス評価も帳消しになります。近年のボーナスは会社の業績連動色を強めているので、あなたの会社の業績によってはボーナスが減る可能性があります。あなたの会社が運輸業や小売業などでむしろ大忙しなら、幸いにしてボーナスに恵まれるかもしれませんが、基本的にボーナス予想は渋めに考えておくほうがいいでしょう。
会社員はどうしてもボーナスに家計を大きく依存しています。毎月の収支不足をボーナスで補ったり、ボーナス払いで白物家電などを一括払いしたり、冠婚葬祭のお金をボーナスからやりくりしていたりします。住宅ローンもボーナス払いを何十万円も設定することがしばしばです。だとすれば、ボーナスが減っても、なんとかやりくりできるようにすることを意識しなければなりません。
住宅ローンについては返済計画の見直しができますので、銀行に相談に行きましょう(別の借金で充当することはNGです)。大型出費もしばらくは控えめにしたほうがいいと思います。そして、もらえたボーナスはしっかり手元に残しておきます。ボーナスがまた増えるのは、景気が落ち着いて回復してからになるでしょう。この何年かは、ボーナスが減ることは覚悟したやりくりを心がけましょう。
年収減少時代の生き方3:自分のキャリアに爪を研げ
今までと同じ仕事をしているのに給料やボーナスが下がる、ということはかなり厳しい状態です。できることなら、逆転の方法を考えなければいけません。
しかし、投資で短期的に稼ごうとか、投資で毎月数万円を確実にゲットしようという考えはオススメしません。特にFX(外国為替証拠金取引)は投機的なので、貴重なお金を溶かしてしまうリスクのほうが高いでしょう。中長期的に積立投資をすることはオススメしますが、つみたてNISAの年40万円、あるいはiDeCoの年27万6000円(企業年金のない会社員の場合)くらいの範囲にとどめておきましょう。
それより、大事なことは「仕事の能力を高めて、もっと給料をもらう立場になる」ことを意識することです。今の時期は残業禁止になっていることも多く、長く働いて収入を増やす選択肢はふさがれています。自分の収入を増やす方法は、「副業」か「キャリアアップ」が考えられます。
まず、副業です。副業については多くの会社で解禁される流れにありますが、会社で減った分の労働時間を別に増やすだけでは同じことです。可能なら、副業が大きく育つことを意識したいものです。例えば、ブログを運営してアフィリエイトで稼ぐなら、そのテーマで本を執筆したり、本業に変わるほど稼げる仕事になることまでロードマップを描ければ理想的です。ちょっと大変ですが、チャレンジする価値はあります。
仕事のキャリアアップについては、景気が悪い時期に年収アップを期待することはちょっと難しいかもしれません。それより、景気が良くなってきたとき、しっかり昇格昇給のチャンスを逃さなくてすむように今から爪を磨いておきます。また、求人が増えてきたときに転職でガッチリと年収アップするチャンスを逃さないためにも、今から資格を取っておくのもいいでしょう。
「雌伏」という言葉がありますが、こういう時期はガマンするばかりではなく、爪を研いで未来に備える意識も持っておきたいものです。
年収減少時代の生き方4:将来のリスクに備えよ
若い世代の人たちに、声をかけたいことがもうひとつあります。それは「コロナの次」に備えることです。あなたの社会人人生で初めて直面した経済的危機が今回であったなら、いつかまた似た事態が起こりうる、ということです。それは10年後、あるいはそれ以降にやってくるかもしれません。後の歴史において「XXショック」と呼ばれるようになる経済危機が次にやってきたとき、せめて今回ほど焦らずにいきたいものです。
最終的にはお金の問題で余裕をつくれるかどうかがカギになります。どんなに少なくとも数十万円を、できれば2~3カ月暮らしていけるくらいの生活防衛資金を確保して、そのときを迎えたいものです。
人生において、経済的余裕があるときと苦しいときが交互に訪れます。経済的に余裕があるとき、少しのお金を蓄え残しておきましょう。それが、次の苦しい時期への備えとなるのです。今回もそうですが、数万円から数十万円のやりくりができるかどうかが、借金人生に転落するかそうでないかの分かれ道になります。できれば年率10%以上の利息に追われる人生は送りたくないものです。
いつか、日は昇る 今をがんばって生き抜こう
2010年12月に安倍内閣がスタートして、アベノミクスも始まりました。10年にもわたっておおむね株価は上がり続けてきたわけです。一般的には10年の間に景気は大きな上げと下げが2回あってもおかしくありません。今回はあまりにも長期に続いた分、こうした時期に下げは厳しいものとなっています。
また、未知のウイルスによる経済と社会の不安も大きく、しばらくは混乱が続くことになるでしょう。しかし、いつかは日は昇ります。ワクチンが開発されたり、エビデンスにもとづく感染抑止手法が明らかとなったり、治療薬が用いられるようになります。
まったく昔通りとはならなくても、日常は戻りますし、経済も回復を始めるはずです。今が正念場です。ぜひ、今を乗り切ることをがんばってみてください。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)