不倫報道の福原愛、自分を“金づる”化する夫家族からの逃亡、性的欲求不満の解消が目的か
卓球女子元日本代表で、現在は解説者やタレントとして活動する福原愛さんの不倫疑惑が、3月4日発売の「女性セブン」(小学館)で報じられた。福原さんは、卓球男子元台湾代表の夫、江宏傑さんと2人の子供を台湾に残したまま、高身長で甘いマスクのエリート会社員と一緒に横浜の高級ホテルに宿泊したうえ、東京都内の福原さんの自宅でも一夜を共にしたという。
「セブン」の記者の直撃に対して、福原さんは「精神的にあまり安定していない私を、サポートしてくれる仲のよい友達の1人です」「(2人でホテルに泊まったことについて)それは事実ですが、ホテルの部屋は2部屋取っていました」などと釈明している。しかし、苦しい言い訳のように私には聞こえる。
この不倫報道が事実とすれば、一体なぜなのか? その理由として次の4つが考えられる。
1) 性的欲求不満
2) ガス抜き
3) 強すぎる束縛
4) 自分の人生を取り戻したい
まず、不倫の理由として多いのは、やはり性欲を満たすためである。その背景に、性的に満たされておらず、欲求不満を抱いている状況があることは少なくない。福原さんは、2月18日に放送された『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演した際、次のように話している。
「(夫は)基本土日にしか帰ってこなくて、練習はもちろんそうですし、卓球場を経営したりしているので、そういった部分で忙しくしていることが多いです」
こういう状況では、性的に満たされなかったとしても、不思議ではない。そもそも、橋本聖子氏の“キス強要”について解説した際に述べたように、一流のアスリートには、“リビドー( libido )”、つまり性的なエネルギーが人一倍強い方が少なくない。性的な原動力を性目標からそらして、過酷な練習に向け変えることができるからこそ、見事なパフォーマンスを示し、素晴らしい成績を残せるともいえる。
このようなリビドーの方向転換を精神分析では「昇華 ( sublimation )」と呼ぶ。この「昇華」がうまくいけば、アスリートとして成功できるが、引退後はリビドーの目標をずらして向け変えるべき過酷な練習も試合もなくなる。その結果、ありあまったリビドーを持て余すわけで、引退したアスリートの不倫がしばしば報じられるのは当然だろう。
ガス抜きのための不倫だった可能性
また、3月4日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、夫とその家族による「モラハラ」が報じられており、福原さんが夫に不満を募らせ、つらい日々を送っていた様子がうかがえる。夫婦生活への不満がたまっているときに不倫に走りやすいのは事実であり、そういうときの不倫はたいていガス抜きのためである。
「現存するアメリカ最高の短篇作家」、いや、それどころか「世界最高の短篇作家」と讃えられる女流作家のイーディス・パールマンに、「従妹のジェイミー」という作品がある。年に一度開かれる泊まりがけの会議で、高校教師のファーンが、自分の従妹で同じく教師をしているジェイミーの過去の不倫関係について同僚のバーバラに話す物語だ。
この小説は、次のような会話で始まる。
「いろいろなことを話した。もちろん、教室で無礼な振る舞いが増えたこと。そして、今回の会議で始まった情事について。年に一度の浮気がいかに多くの既婚者を救っているかについて。
『救急医療のようなものよね』とバーバラが言った。
『結婚生活のガス抜きよ』ファーンは言った」
これは含蓄が深い言葉だと思う。もちろん、不倫を擁護するつもりは毛頭ないが、2人の言葉には一抹の真実が含まれているのではないか。不倫にガス抜きの側面があることは否定できないだろう。
実際、不倫がガス抜きになっているという話はよく聞く。浮気した日に限って寿司やケーキなどを買って帰る夫、あるいは浮気した日は子どもを怒鳴り散らさずにすみ、夫にも優しくできるという妻……など。
何となく本末転倒のようにも思えるが、不倫がガス抜きになるのは否定しがたい事実だ。もしかしたら、不倫によって一時の快楽を味わえば、現実逃避できるからかもしれない。とくに、「文春」で報じられたように、福原さんが夫とその家族による「モラハラ」に苦しんでいたのだとすれば、ガス抜きの必要性を人一倍感じていたはずである。
強すぎる束縛
さらに、「文春」の報道によれば、夫による強すぎる束縛もあったようだ。たとえば、2019年に歯科治療に行った際、福原さんが日常生活で華美なファッションをすることを嫌っていた夫は地味な服に着替えさせたうえ、クリニックまで同伴したという。しかも、歯科治療を終えた後の帰り道、夫は福原さんを「誘うような口の開け方をして。この売女!」と激しく罵ったらしい。
福原さんの夫は、妻を失いたくないという喪失不安が強く、浮気が心配でたまらないのだろうとは思う。だが、この喪失不安は、純粋に妻への愛情に由来するのだろうか。もしかしたら、“金づる”を失いたくないからではないかと疑いたくなる。なぜかといえば、福原さんは義母から「あなたが来て家は潤ったわ。あなたは、我が家の金を生む鶏よ」と言われたからだ(「文春」)。たしかに、夫婦でCM共演し、お金をかなり稼いだはずで、この言葉は、夫とその家族が嫁である福原さんをどう見ていたかを如実に物語るものだと思う。
愛情からにせよ、“金づる”を失いたくないという気持ちからにせよ、妻の管理や監視をしたくなる気持ちはわからないでもない。しかし、あまりにも束縛が強すぎると、息苦しくなる。その結果、福原さんが癒しと自由を求め、他の男性のもとへ走ってしまった可能性も否定できない。
自分の人生を取り戻したい
義母が発した「我が家の金を生む鶏よ」という言葉によって、福原さんは“金づる”とみなされていることに気づいたのではないか。その結果、自分の人生を取り戻したいと思ったとしても不思議ではない。
振り返れば、福原さんは、父親の武彦さんが仙台で経営していた不動産会社が多額の負債を抱えて倒産したせいで、幼い頃から彼女自身が卓球で稼ぐ収入だけが家計を支える境遇で育った。親の“金づる”になっていたように見えなくもない。父親は2013年に亡くなっており、やっと親の“金づる”から解放されたと思ったら、今度は夫とその家族の“金づる”になってしまい、そこから逃げたいと思ったのかもしれない。
「文春」によれば、福原さんは離婚を決意し、その意思を今年1月に夫に伝えたということだが、夫がそう簡単に離婚してくれるとは思えない。何しろ、福原さんは、夫とその家族にとって「金を生む鶏」なのだから。
しかも、一般に「モラハラ」加害者は、一度捕まえた獲物を決して放そうとしない。したがって、福原さんは、夫とその家族に支配され、「売女」呼ばわりされながら、隷従した状態に置かれるのではないかと危惧せずにはいられない。
(文=片田珠美/精神科医)
参考文献
片田珠美『「不倫」という病』大和書房 2021年
イーディス・パールマン「従妹のジェイミー」(『蜜のように甘く』古屋美登里訳 亜紀書房 2020年)