石原さとみ主演の連続テレビドラマ『高嶺の花』(日本テレビ系)の第2話が18日に放送され、平均視聴率が初回から1.5ポイントダウンの9.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。野島伸司氏が脚本を手がける同ドラマは、華道の名門に生まれ、圧倒的な才能と美貌を兼ね備えた月島もも(石原)と、お金も地位もない自転車店主・風間直人(峯田和伸)が繰り広げる「怒濤の純愛エンターテインメント」という触れ込みだ。
第2話は、ももが元婚約者の吉池拓真(三浦貴大)と決別し、直人に付き合おうと迫るなど、“それなり”の進展はあったが、ラスト近くでそれを覆すように、ももが吉池のことをまだ引きずっている様子が描かれた。第1話では、結婚が破談になって以来、失っていた味覚と嗅覚を直人との出会いによって取り戻し、第2話では完全に過去に踏ん切りをつけたように見えたのに、結局何だったんだろうという感じだ。さっさとももと直人の恋愛ストーリーに移ってほしい。
このほかにも、理解できないポイントが目立った。その最たるものは、新興流派の華道家・宇都宮龍一(千葉雄大)がももの継母である月島ルリ子(戸田菜穂)から手を結ぶことを持ち掛けられ、「保証が欲しい」と言って彼女を寝取ってしまうという謎の展開だ。エグイ展開で話題を集めたいという脚本家の魂胆が見え見えで、まったくいただけない。2人とも腹黒いことを描写するのには手っ取り早いのかもしれないが、安易だなとの思いはぬぐえない。
ルリ子の意向を受けて月島なな(芳根京子)に近付いた龍一が「運命、君は信じないの?」と強引に迫るも、「それならあなたにも聞くけど、前世の存在を信じ切れる?」と意味不明の切り返しをされ、発作のように突然倒れた場面も、何を見せられたのかまったくわからなかった。
第1話で自転車に乗って旅立った中学生の動向を直人が把握しているような描写も、何を描きたいのかがわからずモヤモヤする。ただ単にGPSなどでこっそり居場所を把握しているだけなのかとも思うが、「直人には特殊能力があり、人の心が読める(操れる)」という設定のようにも見える。「前世」のキーワードで龍一の様子がおかしくなった件もそうだが、ドラマの世界観としてスピリチュアルが「あり」なのか「なし」なのか、現時点ではどちらとも解釈できるのが視聴者に居心地の悪さを感じさせているように思えてならない。
そうは言っても、まだ第2話であり、今後の展開の布石を打っている段階だとは思うが、全体的に各エピソードがぶつ切りになっている印象を与えてしまっていることは否めない。これでは、「意味がわからない」「つまらない」と感じる視聴者も少なくないはずだ。
ももが交際を申し込んだ直人も、第2話ではあまり魅力的ではなくなってしまい、「どこがそんなに良かったんだろう」と少々冷めてしまった。それどころか前述の通り、家出した中学生を操っているかのように見えることから、怖さを感じてしまった。優しくていい人に見えたのはやはり表の顔で、本当はとんでもない裏があるのではないかという不気味さを感じる。
石原の演技もすこぶる評判が悪く、インターネット上には「石原さとみのガサツ演技は見飽きた」「『アンナチュラル』では良かったのに残念」「どこが高嶺の花なのか」といった感想があふれている。とはいえ、家元の教えを回想しているももが「もう一人の自分……」と低くつぶやく序盤のシーンでの演技は良かった。華道に取り組む時の凛とした姿と普段とのギャップを際立たせるための演技プランなのだろうとは思うが、あそこまでガサツな女性を演じる必要があるのかとは思う。
ダメ出しばかりになったが、石原を美しく撮ろうとする映像へのこだわりだけは評価したい。なかでも、和服で花を生けるシーンはテレビドラマというよりも映画のようであり、石原が美しいのはもちろんのこと映像として美しい。ただ、そのわずかなシーンだけで視聴者をつなぎ止めるのはさすがに苦しい。そろそろドラマとしての方向性が見えてこないと、視聴率もどんどん下落していきそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)