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『チアダン』視聴率4%台目前から回復し始めた!素直に感動できない違和感の正体

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 土屋太鳳主演のテレビドラマ『チアダン』(TBS系)の第7話が24日に放送される。広瀬すずが主演を務めた同名映画で描かれたチアダンス部「JETS」の打倒を目指す福井西高校のチアダンス部「ROCKETS」を描く青春ドラマだ。

 ドラマの撮影が始まる何カ月も前から特訓を始めたという若手女優たちによるパワフルなチアダンスが見どころのひとつとなっており、ほぼ毎回ダンスシーンに感動のクライマックスが来るような構成になっている。第1話で平均視聴率8.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ/以下同)を記録していたが、第5話では5.5%とその前の回から1.8ポイントも急落して4%台落ちも現実味を帯びていた。しかし、第6話は6.1%まで回復して今後に期待を持たせた。

 第7話は、3年生になった藤谷わかば(土屋)率いるROCKETSが地区大会での優勝を目指す様子を描くストーリーになるようだが、その放送を前に第6話を振り返っておこう。

 ROCKETSの顧問を熱心に務めていた漆戸太郎(オダギリジョー)が事故で入院してしまい、チアダンス部は顧問不在の部活となったというところから物語はスタート。わかばらは「自分たちだけでやれる」と校長の蒲生駒子(阿川佐和子)に宣言するが、ある日の練習中に橘穂香(箭内夢菜)が軽く捻挫してしまい、それを知った穂香の父・誠一(宍戸開)が学校に怒鳴り込んでくるという事件が起こってしまった。誠一は「顧問がいないのならチアダンス部を廃部にしろ」と息巻くが、校長は「1週間預からせてほしい」とその場を収め、チアダンス部存廃の決定を教頭の桜沢伸介(木下ほうか)に一任した――という展開だった。

 ドラマの流れ上、チアダンス部のピンチをつくるために無理やり太郎をケガ人にさせた感は否めないし、娘が大ケガしたならともかく、足をねん挫したくらいで「廃部だ」と騒ぐ父親もどうかしていると思うが、連続ドラマである以上はある程度の話の引き延ばしも必要だということだろう。

 教頭は当初、廃部もやむなしと考えていたが、太郎を見舞いに行ったことで心境に変化が生じる。太郎は、ROCKETSは周りから見ればバカだし無謀かもしれないが、どんな時にも奇跡を信じて前に進んで行こうとしている。だから自分も何があっても逃げず、彼女たちがどこまでも高く飛べるように手助けしてやりたい――と、素直な思いを教頭に語る。

 これは良い場面だった。太郎の台詞にROCKETSのこれまでの名場面をまとめた映像が重なり、なんていうことはないシーンなのに胸が熱くなる。太郎も生徒たちと一緒になって同じ方向を向いて奮闘してきたのだと思うと、涙腺もゆるむ。若手女優たちの熱演には毎度目頭を熱くしてきたが、ここにきてオダギリジョーに感動させられるとは思っていなかった。事故に遭って入院するという展開はどうかと思ったが、太郎を単なる脇役にせず、しっかりとストーリーに絡めてくる脚本はうまいと思う。

 太郎の言葉に心を動かされた教頭は、保護者たちの前で自分が顧問代理を務めると宣言。折しも、一時はROCKETSと対立していたチアリーダー部の部員たちが丸ごとチアダンス部に加入することになり、部員も大会で上位入賞を狙うのに必要な20人に達した。

 というわけで、かたちとしては第6話も問題発生から解決までをきっちり1話で描ききったことになる。話のまとまりとしては良かったが、いくつかツッコミを入れたくなるポイントもあった。ひとつは、チアリーダー部が全員ROCKETSに加入したのなら、チアリーダー部の顧問がそのまま太郎の代わりに顧問を引き受ければいいのではないか、という疑問だ。というより、そうなるのだろうと予想していた視聴者も多かったようだ。実際には、チアリーダー部の顧問が画面に登場することも、存在がほのめかされることもなかった。「教頭が味方になる」という感動の展開にするために、かなり不自然な切り捨てを行ったことは否めない。

 また、入院中の太郎を応援するために、ROCKETSの皆が病院前でチアダンスを踊ったり、全員で外から病室に向かって大声援を送ったりするという場面にも違和感を覚えた。これらも一応は感動を呼ぶ場面であり、筆者もジーンと胸に来るものがあったことは否定しないが、同時に「こんなことやったら病院に怒られるだろ」と冷めた気持ちになったのも事実だ。

 とはいえ、このドラマにおけるROCKETSの目標は、あくまでも打倒JETSと全米制覇であり、テンポよく話を進めていくためには多少強引な展開もやむを得ないというところだろう。漫画だと思って、「そんなわけないだろ」と軽くツッコミを入れながら楽しむくらいがちょうどいい。大会に向けてメンバーの緊張感が高まる第7話にも期待したい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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