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『チアダン』絶賛の嵐なのに視聴率暴落!あり得なすぎで視聴者が嫌気か

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 土屋太鳳主演の連続テレビドラマ『チアダン』(TBS系)の第6話が17日に放送される。広瀬すずが主演を務めた同名映画で描かれたチアダンス部「JETS」の打倒を目指す福井西高校のチアダンス部「ROCKETS」を描く青春ドラマだ。

 視聴率はあまり振るわないものの、チアダンスに青春をかける女子高校生を熱演する若手女優たちの懸命な姿には好感が持てるし、わかりやすい感動的なストーリーが好きな人にはハマるドラマになっている。

 ここまでのあらすじを簡単に振り返ってみよう。転校生の桐生汐里(石井杏奈)が藤谷わかば(土屋)を誘ってチアダンス部を設立し、部員を集めるとともに漆戸太郎(オダギリジョー)に顧問を依頼して正式な部活として発足するが、わかばが以前に所属していたチアリーダー部からの嫌がらせは激しくなる一方だった――というのが、第4話までのストーリーだ。

 嫌がらせといっても、無視したりバカにしてくる程度のものだったらマシだったのだが、第4話のラストではついにチアダンス部の部室を荒らす暴挙に及び、備品を壊したり落書きをしたりしたことが描かれた。もはや犯罪である。ここまで深くなった対立をどのように解決するのかが第5話の焦点となっていた。

 もしかしたら、ROCKETSがチアリーダー部の悪事を暴いて懲らしめる、スカッとした展開になるのではないかとの予想も多かったに違いない。ところが、実際には少々異なる展開となった。第4話まではひたすらヒール役として描かれたチアリーダー部の部長・稲森望(堀田真由)が、実はそれほど悪い人物ではなかったという後出し設定が出てきたのだ。チアリーダー部時代の望とわかばは仲良しで、一緒に学校祭で踊ろうと約束していた。だが、わかばがチアダンス部を始めたことで「裏切られた」と感じ、嫌がらせを繰り返していたのだった。

 自分が望を傷つけていたことを悟ったわかばは、学校祭当日にある決断をする。ROCKETSに割り当てられていた体育館での出演時間を、屋外でのパフォーマンスが雨で中止になってしまったチアリーダー部に譲る、というのだ。嫌がらせをしてきた相手に善行で返そうというのは、さすがに人が良すぎる。当然部員たちも反対するが、「わたしも最初は、中止でざまみろって思ったけど、でもそれはチアスピリットじゃない」というわかばの一言で納得し、快く自分たちの出番をチアリーダー部に譲ることを決めた。

 出番を譲ってもらったチアリーダー部は、生徒たちの喝采を浴びてダンスを披露し、部長の望は、詰めかけた生徒たちが見守る中でわかばに感謝を述べ、今までの非道な行いを謝罪する。わかばは一瞬部員たちを振り返り、納得した顔をしているのを確認してそれを受け入れた。すると望は、「一緒に踊らん?」とわかばに提案。わかばも「約束やもんの」と応じ、チアリーダー部とROCKETSによる2チーム合同での演舞が始まった――という展開だった。

 ひどいことをしてきたチアリーダー部に「やり返す」のではなく、チアスピリットで改心させたという結末は、ドラマとしての筋が通っていて文句のつけようがない。だが、全校放送でいきなり「チアリーダー部にこの時間を譲るから体育館に来て」と呼びかけたり、何があったか知るはずのない一般の生徒たちが見ている前で和解の場面を繰り広げたりするという非現実的な展開が続いたのは、いくらこのドラマがベタな青春路線だからといっても、少々厳しいものを感じた。

 このドラマがあまりリアリティーを追求していないことは当初から明らかだし、そういうものだと思って観るのが正しいと思うが、「いかにもありそう」「もしかしたらあるかもしれない」という範囲を超えてしまうと、特に若い世代の視聴者の目には「バカげている」と映ってしまうのではないかと心配になった。実際、平均視聴率は第4話から1.8ポイント急落して5.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、自己最低を記録した。

 気になる点はほかにもある。ROCKETSのメンバーには、「日舞の家元の娘」「陸上部にも所属している」「教頭の娘で優等生」「中華料理店の娘でダンスが下手」など、さまざまなキャラ設定がなされているのに、それらがほとんど生かされていないことだ。すでに部員も10人に達し、すっかりモブキャラと化した部員も何人かいる。顧問の太郎については、トラウマの克服や教師としての成長が丁寧に描かれているだけに、生徒一人ひとりについてももう少し焦点を当ててもいいのではないだろうか。

 さて、第5話のラストは、バイクにひかれそうな子供を助けようとして太郎が事故に遭うという衝撃的なものだった。ここまでベタなドラマの定番を入れずともいいのではないかという気もするし、ROCKETSのピンチをつくって話を引き延ばすための無理やりな展開にも思えるが、予告によればどうやら太郎の入院がきっかけとなって、さらなる感動の展開が待っているらしい。ストーリーはさておいても、第4話から登場したROCKETSの衣装はかなりかっこいいし、女優たちが笑顔満開でダイナミックに踊るダンスシーンは素直に美しいので、それを眺めて元気をもらうくらいの軽い気持ちで視聴してもいいのかもしれない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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