弁護士が主人公のテレビドラマは数え切れないほどあるが、今クールの『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)が好評を博している。
米倉涼子が演じる主人公、小鳥遊翔子(たかなし・しょうこ)は、弁護士資格を剥奪された元弁護士。彼女が、勝ち目のなさそうな訴訟で勝利(“V”ictory)に向かって突き進んでいくという設定だ。
第1話(10月11日)は平均視聴率15.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2話(18日)は同3.1ポイントアップの18.1%を記録するなど、今クールの民放連ドラとしては1位を独走している。
「現役の弁護士が見ても楽しめるドラマです」
そう太鼓判を押すのは、弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏である。
「弁護士資格剥奪というのは、弁護士に対するもっとも重い懲戒処分。クライアントのお金に手をつけてしまったというケースなどに課せられます。まったく信用はなくなり、法曹界から姿を消すのが普通です。それが、弱者を救うための法律事務所を取り仕切って訴訟に勝とうというだから、とても興味深い設定です。どんなふうに小鳥遊が弁護士資格を剥奪されたのか、今後の展開で明らかになるでしょう。そういう意味でも気になるドラマです」
弁護士資格を失った小鳥遊が法律事務所を仕切っていることに関して、ネット上では非弁行為ではないかという指摘もある。弁護士法72条に「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」と定められている。これに反することが非弁行為だ。
「非弁行為に当たらないようにわざわざ、法学部の大学教授で実務経験はないけど弁護士資格を持っている、“ペーパー弁護士”の京極雅彦(高橋英樹)を引っ張ってきて、『京極法律事務所』の代表に据えているわけです。しかも小鳥遊は、事務所開設費用の500万円を京極先生に出させている。これがもし、小鳥遊が金を出していたら逆に、京極が自分の事務所を開くために金を借りたということになり、貸した人物が管理人として事務所にいたら、これはアウトです。ただ単にお金を借りるのはいいんです。弁護士事務所を開く時に、銀行だってお金を貸してくれますから。