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ただ、地方の信用金庫などで、『お金貸してやるから、うちのこいつを取締役に入れろ』ということがありますよね。それを法律事務所でやられたらアウトです。そこに支配権が生まれてしまいますから。これはなぜかというと、弁護士というのは独立の精神を守らなければならない職業だからです。第三者から、『こういう弁護方針でやれ』『こういう人間を助けろ』などと言われても、それには応じないというのが原則なんです。だから、弁護士事務所は株式会社にはできません。株式会社にしたら、株主の意向を聞かなければいけないですから。金によって他人に牛耳られないというのが、弁護士の原則なんですね。
ただこれも、たぶんに形式的なところで判断されるんです。たとえば小鳥遊がビルのオーナーで、京極法律事務所がテナントとして入っていて、なおかつ彼女が事務所のスタッフとなると支配的なパワーが生じると見なされます。京極先生が自分のお金で事務所を開いたというかたちになっていて、小鳥遊はその下の位置にいるわけですから、管理人であろうと事務局長であろうと、なんら問題はありません。そういう意味では、だいぶ考えてつくられたドラマですよ」
見直される痴漢逮捕後の長期勾留
11日放送の第1回で扱われた事件は、痴漢冤罪事件。一流企業「君島化学」の社員、安田勉(児嶋一哉)が、女子大生の三島麻央(山谷花純)に、電車内でお尻を触られたとホームに出てから指弾される。この時に、小鳥遊にスカウトされていた弁護士・青島圭太(林遣都)がその場に居合わせて止めに入るが、安田は駅員に捕まえられ、駆けつけた警察官に逮捕され、送検されてしまう。
痴漢そのものは決して許されることではないが、実際にはやっていないのに犯人にされてしまう痴漢冤罪は20年以上前から問題になっている。いったん痴漢として捕まると、被害者女性の供述が重視されるために無罪を勝ち取ることはきわめて難しい。無実を主張していると、否認しているということで長期間勾留され、それだけで職を失ってしまう。それなら被害者女性と示談して、被害届を取り下げてもらったほうがいいということになる。ドラマでも、安田に面会した小鳥遊と青島は当初、そう言って説得する。
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