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『SUITS』視聴率続落1桁台突入…天才的記憶力とのキャラ設定“無視”の不可解な脚本

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
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 織田裕二が主演を務める連続テレビドラマ『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)の第4話が29日に放送され、平均視聴率は前回から1.4ポイント減の8.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。第1話こそ14.2%と、期待の高さを反映した高視聴率を記録したが、第2話以降は右肩下がりに数字を落としており、第4話にして初の1桁台に転落してしまった。

 この作品は、勝つためには手段を選ばない敏腕弁護士・甲斐正午(織田)と、驚異的な記憶力を持つが弁護士資格を持たない鈴木大貴/大輔(中島裕翔)がバディを組み、数々の案件を解決していく弁護士ドラマ。第4話は、製薬会社の副作用をめぐる訴訟と、家賃を滞納した住人に対して起こされた訴訟のふたつの案件が同時に進行する回となった。

 甲斐と鈴木がそれぞれに訴訟を担当し、最後に微妙にリンクして双方とも解決に至るという構成は悪くない。この形が確立できれば、弁護士ドラマとして一定の評価を得られるだろう。ただし、「確立できれば」の話である。第4話は、形こそ「ふたつの案件がひとつにつながる」という体裁を取っていたが、実際はどちらの訴訟にも「被害者の会」が関わったという程度の共通点しかなかった。これでは、「そうつながるのか」という驚きに欠けるし、むしろ無理やり感が出てしまって逆効果だ。もう少し脚本を練ってほしい。

「どんな文書も、一度見たら一字一句すべて覚えられる」という鈴木の特殊能力も、いまだに生かされていない。一応、前回もこの第4話も、訴訟に備えて大量の資料を覚えるようにと甲斐が鈴木に命じる場面はあった。だが、それが解決に役立っているかといえば、毎回そうでもないのだ。今回も、鈴木は製薬会社の治験記録を丸ごと記憶したが、結局まったく役に立たなかった。実は治験記録の通し番号は1つだけ抜けていたのだが、そんなことにはまったく気付かず、法廷で相手の弁護士から指摘されて初めて「そういえば……」と気付く始末。驚異的な能力の持ち主というからには、相手側の猛攻をすさまじい記憶力で鮮やかに切り返し、留飲を下げる場面が見たいものだ。

 どう見ても先輩と後輩がコンビを組む「バディもの」のドラマであるはずなのに、バディ感が驚くほど不足しているのもいただけない。それぞれが訴訟を担当するのはいいが、2人が協力し合う描写ももっと増やすべきだ。甲斐は新人の鈴木をもっとアシストしてほしいし、逆に甲斐がピンチに見舞われた時には鈴木が思わぬかたちで救ってほしい。このドラマは全体的にアメリカ風の演出が目立つため、もしかしたら人間関係も「個人がそれぞれがんばる」的なアメリカ風の描写なのかもしれないが、日本人は「バディ」というものにもっとウェットな関係性を求めているような気がしてならない。役者陣は健闘しているだけに、脚本と演出が非常に惜しい。

 一方、鈴木をめぐる2人の女性の動きはちょっとおもしろくなってきた。パラリーガルの聖澤真琴(新木優子)は、当初は鈴木のことなどまったく眼中になかったのに、どうやら少しずつ気になり始めている様子。鈴木の悪友の妹・谷元砂里(今田美桜)は、妹分的な存在ながら、明らかに鈴木に恋心を抱いているようだ。法廷に向かう鈴木を真琴が呼び止め、「ネクタイ曲がってます」と直してあげた直後、砂里が現れて「ネクタイ曲がってんじゃん」と言い始めた場面は笑った。黙って砂里にネクタイを直させる鈴木を微妙な顔つきで見つめる真琴を見ていると、何やらもめ事が起きそうな予感がする。鈴木の恋模様はこのドラマの本筋ではないが、2人の女性による軽いさや当てくらいだったら、ドラマのスパイスとしてちょうど良さそうだ。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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