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『獣になれない私たち』新垣結衣が下ネタ連発&演技力不足を露呈の「公開処刑」状態

文=吉川織部/ドラマウォッチャー

 新垣結衣と松田龍平がダブル主演を務める連続テレビドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の第4話が10月31日に放送され、平均視聴率は前回から1.4ポイント減の6.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。最新の視聴率ランキングでは、ギャグドラマ『今日から俺は!!』(同)や、刑事ドラマの皮をかぶったアイドルドラマ『ドロ刑』(同)にも負けており、相当屈辱的な数字だ。プロ野球日本シリーズ延長の影響で放送開始が23時15分にずれ込んだため、録画して寝た人が多かった――という言い訳が成り立つ分、まだ救われたといえよう。

 さて、一応このドラマは、新垣演じるOL・深海晶と、松田演じる会計士・根本恒星による「ラブかもしれないストーリー」ということになっている。第4話では、晶の婚約者・花井京谷(田中圭)が、恒星の元カノでもあるデザイナー・橘呉羽(菊地凛子)と酔って寝たことが判明。晶は行きつけのビアバーで恒星に愚痴をこぼすが、ふと「バカに……なりますか?」と彼に誘いをかけた。恒星の自宅に連れ込まれた晶は、キスをするかしないかについて、ひとしきりグタグダと話した後、2人でベッドに座って酒を飲み始める。いよいよコトが始まるかに思えたその時、飲みすぎた恒星はそのまま寝落ちしてしまった。それに気付いた晶は、「最中に寝る男……ハハハ……」とベッドの上で笑い出した――という展開だった。

 あまりにもくだらない結末に、今回も視聴者から批判が噴出。ネット上には「あれだけ前置きを長く描いて最後が寝落ちとは、展開を放棄しているとしか思えない」「結局一線を越えないにしても、もっとほかに理由のつけようがあるだろ」「恒星が酒に弱いという、どうでもいい伏線をこんなところで回収するとは」といった声が次々に書き込まれた。

 批判の声を上げた視聴者も、別にガッキーのベッドシーンがどうしても見たいというわけではないだろう。ここで一気に晶と恒星が男女の関係になるなら「なる」、ならないなら「ならない」で、はっきりとした方向性を見せてほしいのだ。脚本の野木亜希子氏も、劇中の晶も「一線を越えなかったからセーフ」のつもりなのかもしれないが、もし恒星が寝落ちしなければコトに至っていたのだから、どう考えてもアウトである。『獣になれない私たち』と言いながら、ガッキーまで獣になってしまって、いったいどう収拾をつけるのだろうか。

 晶と恒星が、行為の前にキスをするかしないかでグタグタ言い合うのも、「野木氏がガッキーに下ネタを言わせたいだけ」に見えて仕方がない。京谷はキスが好きなのかと恒星に尋ねられ、「する。(行為の)最中も、すごくする」と答える場面などは、まさにこれだ。このほかにも、新垣の台詞にはやたらと「する」だの「やった」だのと、品のないフレーズが登場した。そこまで下品なキャラクターにする必要があるのか、はなはだ疑問だ。

 脚本も悪いが、新垣の演技もまったく良くない。第1話で見せた疲れ切ったOLの演技は結構良いと思ったのだが、回が進むにつれて演技力の不足が表に出てきている。特に今回は、京谷が浮気したことを知って、あわてふためいて恒星の事務所を訪ねてくる場面の演技が最悪だった。ただ必死に早口で台詞を読んでいるだけで、焦燥感もなければ、パニックに陥っているふうでもなく、「あー、ガッキーが精いっぱい演技しているんだなー」としか思えない。

 恒星がベッドの上で寝落ちしたのに気付き、両手で口を覆って「ハハハ」と楽しそうに笑う演技も最悪だった。あんな取って付けたような笑い方があるものか。この場面は、もし笑うにしても「私、何やったんだろう……」と自嘲気味に笑うのが普通だと思う。もちろん演出家の責任も大きいが、やっぱりガッキーにとって「脱アイドル女優」の道はまだ遠かったのかもしれない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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