今年デビュー10周年を迎えたKis-My-Ft2(キスマイ)。2011年8月10日のデビュー以降、誰ひとり欠けることなく7人で活動を続けてきた彼らだが、“エリート集団”であるはずの「デビュー組ジャニーズ」のなかでも、彼らは苦労人といわれ続けてきた。メモリアルイヤーである今年、『金スマ』(TBS系)をはじめさまざまな番組で「キスマイ10年史」が取り上げられているが、クローズアップされたのはやはり、彼らの不遇時代。
ジャニーズに詳しいあるスポーツ紙記者はこう語る。
「キスマイがグループとして結成されたのは2005年。当時からジャニーズジュニアのなかでの人気はありましたが、他グループでのデビューに漏れたメンバーが多い“寄せ集め集団”でした。ジャニー(喜多川)さんから『ローラースケートがはやる』と言われ、ずっとそれを売りにしていましたが、人気はジャニーズファンのなかだけ……の鳴かず飛ばず状態がしばらく続きましたね。
2007年には後輩であるHey!Say!JUMPに先を越される形でCDデビューされてしまい、やっと彼らがCDデビューできたのは、結成6年目の2011年。最年長の北山(宏光)くんは26歳まであと2カ月というタイミングで、メンバー全員がすでに20代という、ジャニーズのなかではかなりの遅咲きでした。しかも、デビュー発表直後に東日本大震災が起こり、デビューが3カ月延期されるという悲運も。
さらに、やっとデビューできたかと思いきや、その3カ月後には、キラキラの王道アイドル路線のSexy Zoneがデビュー。平均年齢14.4歳の彼らが『ワールドカップバレーボール2011』のスペシャルサポーターという肩書を引っさげて登場すると、キスマイはデビュー3カ月めにして、早くも“脇道”に追いやられてしまったのです」
SMAPマネージャー飯島氏が望んだ“第2のSMAP”という大きな夢は、SMAP騒動で潰えた
デビュー後も彼らの苦悩は続いた。
フロントメンバーの3人(北山、藤ヶ谷太輔、玉森裕太)には注目が集まるのに対し、後列の4人(千賀健永、宮田俊哉、横尾渉、二階堂高嗣)は衣装も適当で、バックダンサーのような扱いになることも。グループ内格差が浮き彫りになり、不穏な空気も漂ったというが……そんなキスマイを救ったのが、当時SMAPのメンバーであった中居正広だった。
「バックダンサー扱いだった4人を中居さんがテレビ番組内でネタにし、『舞祭組』としてデビューさせたことで、キスマイというグループが非常にわかりやすくなりました。以後、テレビ露出も急激に増え、人気が安定してきたという意味では、この『舞祭組』結成がキスマイのブレイクポイントでしょうね。
そもそもキスマイは、当時SMAPのマネージャーだった飯島(三智)さんが“第2のSMAP”として育てようとしていたのは有名な話。結局、飯島さんがジャニーズ事務所を退所することになり、2016年にSMAPも解散してしまったため、そのプランは夢半ばで潰えてしまいましたが、ほかのグループと比べれば当時からバラエティ露出が多かったことが、現在の活躍に繋がっているのでしょう。デビューしてすぐに深夜で冠番組を持ったり、今もグループでゴールデン帯のレギュラー番組を持つなど、タレントとしての実力は相当なもの。『プレバト‼』(TBS系)でも俳句やアート作品で意外な才能を発揮しており、中高齢者からの認知度も高い。“第2のSMAP”にはなりそこねましたが、SMAPの“遺志”を感じさせる唯一のグループではあるでしょうね」(前出・スポーツ紙記者)
“キムタクがいなかった”ことが、キスマイがSMAPになりそこねた大きな要因
デビューして10年、絶えずテレビで活躍し続けることでお茶の間には広く認知されたKis-My-Ft2。一方、本業のアイドル活動においては少々物足りなさが感じられるとの声もあるが、「いやいや、アイドルとしても立派な成功者」と語るのは、ジャニーズに近いある芸能関係者だ。
「彼らはジュニア時代が長かった苦労人ではありますが、そのぶんジュニア時代からの根強いファンがいる。ドーム公演でもしっかり客が入りますし、CDも20万枚ぐらいは堅調に売れる。彼らのコアなファン層が30代なので、ライブやグッズやCDにしっかりお金を使ってくれるのがキスマイの強みです。
彼らが“第2のSMAP”になりそこねた大きな要因はただひとつ。メンバーに、キムタク(木村拓哉)のような“高視聴率ドラマで主演を張れる俳優”がいないことでしょう。玉森くんも藤ヶ谷くんも過去にはドラマで主演を張り、キムタクになれるチャンスは何度かありましたが、結局は爪痕を残すことができなかった。グループのバランスはいいのですが、核となるメンバーが生まれなかったことが、結果としてキスマイの未来をも左右してくるかもしれません。
しかし、せっかくのデビュー10周年のメモリアルイヤーでも、コロナ禍でライブができなかったり、メリー(喜多川)さんが亡くなったりと、盛り上がりづらい1年となってしまったのが彼ららしいというか、やはり悲運のアイドルだなあと思いますね」
アイドルの“脇道”をひたすら突き進んできたからこそ、デビュー10年で現在のような成功を収めることができたKis-My-Ft2。遅咲きの“悲運のアイドル”が今後どんな花を咲かせるのか、注目していきたい。