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『相棒20』、後半の見どころはココ!反町隆史の卒業までに伏線回収はあるか?

文=上杉純也/フリーライター
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『相棒20』反町隆史の卒業までに伏線は回収される?
「相棒」公式サイトより

 11月24日、現在season20が放送中の人気刑事ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)で主人公・杉下右京(水谷豊)の“4代目相棒”となる冠城亘を演じる反町隆史が、今シーズン限りで番組を卒業すると発表された。

 この発表を受けて、5代目相棒を誰が演じるかに関心が集まっているが、ほかにも忘れてはならないことがある。2015年10月スタートのseason14で冠城が初登場して以降、伏線が張られたものの、いまだに回収されていないエピソードがいくつかあるのだ。そこで今回は、最終回まで折り返し地点に差し掛かった『相棒』の今後の見どころを紹介したい。

遠峰小夜子、連城弁護士と特命係との対決は?

 まずは節目のseason20ということで、『相棒』ワールドを構成するキャラクターたちの総登場が考えられよう。その第1弾なのか、原田龍二演じる特命係“初代・第三の男”陣川公平が、第4話「贈る言葉」で早くも登場した。陣川といえば、これまではそのシーズンの終盤で登場するのが定番だっただけに、これは今後も準レギュラー陣が続々登場することを意味するのではないかと考えられる。

 なかでも、右京&冠城絡みで要注目なのが、season17の第6話「ブラックパールの女」で初登場した、西田尚美演じる“平成の毒婦”こと遠峰小夜子だ。天才的な詐欺師であり、連続殺人事件の容疑者でもある。人の心を操る術にも長けていて、現在は拘置所の中にいるにもかかわらず、外の人間を意のままに動かすことのできる超危険人物だ。

 さらに、一度会った人の顔をすぐに覚えて忘れない“相貌認識”という特殊能力も持っているのである。season17以降も、season18第17話「いびつな真珠の女」、season19第7話「同日同刻」と、3シーズンにわたって特命係と対決してきた。その決着がついていないだけに、今シーズンでも特命係vs.小夜子という事件が起きることは確実。

 前述の「同日同刻」で小夜子の幼少期について触れられるような場面があったが、小夜子というサイコパスモンスターが形成されるに至った背景もさらに深く掘り下げられるだろう。冠城最後のシーズンで特命係と彼女との戦いについに決着がつくのか、そしてその結末はどうなるのか、注目である。

 この小夜子と特命係をつなぐ役割を果たしているのが、松尾諭演じる弁護士の連城建彦だ。特命係に好意的とも取れるような一面を見せることもあり、対する右京もseason18第19話「突破口」で犯人の弁護を連城に依頼する場面がある。彼のことを弁護士としては信頼しているのではないかと推察できる。だが、その一方で小夜子の犯罪に手を貸しているのではないかという疑惑もあるのだ。

 小夜子登場以前からのキャラクターだが、敵か味方かいまだにわかっていない。しかも、会話の98%を記憶できるという天才的な頭脳の持ち主でもある。よって、小夜子との対決には、この連城弁護士がかなりの確率で関わってくるに違いない。顔を記憶できる遠峰小夜子と、会話を記憶できる連城建彦。この2人と特命係は、果たしてどんな事件で対峙することになるのだろうか。

青木年男の再登場はあるのか

 そのほか、登場が期待されるキャラクターとしては、元鑑識課で現在は警察学校教官の米沢守(六角精児)、“花の里”2代目女将だった月本幸子(鈴木杏樹)、警視庁千束署刑事課の巡査部長・相原誠(萩原聖人)、警視庁サイバー犯罪対策課専門捜査官の岩月彬(田中圭)、元政治家で現在は防衛技術振興協会顧問の片山雛子(木村佳乃)らだ。意外なところではチャンドラー探偵社所長の矢木明(高橋克実)や、ジャーナリスト見習いの守村やよい(本仮屋ユイカ)、そして右京の遠縁でニューヨーク在住のフォトグラファー・杉下花(原沙知絵)の復活登場にも期待がかかる。

 4代目相棒・冠城亘時代に登場したキャラクターなら、サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官の青木年男(浅利陽介)も気になるところ。いつも憎まれ口を叩きつつも右京たちに協力してくれる、実に優秀な男である。手かがりを多々発見し、事件解決に大きく貢献したこと数知れず。特命係からはなかなかひどい扱われ方をされているにもかかわらず、毎回毎回イヤイヤ協力する姿は、まさに“いじられ要員”。

 このように、表面上は特命係と良好な関係を築いているものの、実は初登場回となったseason14第15話「警察嫌い」で右京と亘にまんまと嵌められ、それを根に持っている点は見逃せない。だが、過去2シーズンでは特に怪しい動きはなく、逆にますます特命係とは親密になっている。青木の特命係に対する恨みは消えたのか。season15第1話と同最終回で、右京と亘の写真に画びょうを刺す場面が描かれていただけに、密かに復讐を狙っていると思われるのだが、果たしてどうか。

特命係を目の敵にする2人の存在

 そして、この青木以上に特命係を目の敵にしているキャラクターが2人いる。1人は亘の元上司・法務省の日下部彌彦事務次官(榎木孝明)である。当初、特命係とは良好な関係だったが、season15第8話「100%の女」で、日下部が目をかけていた女検事を右京が追い詰めてしまったことから敵対するようになった。その後は特命係を潰そうと画策。検察官の田臥准慈(田辺誠一)をぶつけてきたり、青木と手を組んだりと、一時期は活発に動いていた。

 ところが、この日下部事務次官はseason17の元日SPを最後に、season18、season19とまったく姿を見せていない。およそ2シーズン半にわたって沈黙しているだけに、逆に不気味な存在である。亘が今シーズンで卒業するだけに、特命係との対決は避けられない。

 特命係を目の敵にしているキャラクターのもう1人は、警視庁副総監・衣笠藤治(杉本哲太)だ。season15第11話「アンタッチャブル」で娘の里奈(桜田ひより)が目撃者となった殺人事件以降、特命係を“警視庁の負の遺産”として危険視するようになった。

 現在、警察庁長官官房付に階級が格下げされている甲斐峯秋(石坂浩二)とはもともと政敵関係であったが、その峯秋が特命係に肩入れしていることもあって、峯秋を特命係もろとも葬り去ろうと画策している。たとえば、season17第4話「バクハン」では一見、特命係と友好的な関係を築いていくのかと思われた生活安全課のキャリア刑事が、実は衣笠側の人間だったりと、特命係を追い込むため常に策謀を巡らせているのだ。

 当然、右京たちは衣笠が特命係を敵視していることを感じ取っている。この“特命係vs.衣笠”の戦いが、冠城卒業までに決着するのか、それとも次のシーズンまで持ち越すのか――。ちなみに、特命係は衣笠の娘・里奈と交流があり、season16では里奈の母親も登場している。この家族の存在が、両者の戦いに何かしらの影響を与えることも考えられる。互いの警察官としての矜持がぶつかり合った先には、果たして何が待っているのだろうか。

 今シーズンの見どころ、最後に注目したいのは、やはり“冠城亘の卒業”だろう。どのような形になるのか、かなり気になるところだ。ここまでは初代相棒・亀山薫が「退職」、神戸尊が警察庁への「異動」、甲斐享が「懲戒免職」と、それぞれ違うパターンで特命係を去っている。

 となれば、刑事ドラマでは定番ともいえる“殉職”だろうか。4人目の相棒だけに、やはり“死”がふさわしいとの声もある。殉職でなくとも、瀕死の重傷を負うパターンも考えられる。掟破りの奇策なら“生死不明”という展開もある。

 実は、この生死不明パターンには前例がある。1980年代、同じテレビ朝日系で放送されていた『西部警察』シリーズで、三浦友和が演じた沖田五郎がそうだった。沖田は余命1年という不治の病を患っており、自らの死期を悟ると西部署を去って雪山に消えたのである。その際、行き先を告げなかったため、退職した彼の行方がどうなったのかは誰も知らなかった。

 今回もし、生死不明パターンを使うとしたら、事件現場でのアクシデントだろうか。爆発に巻き込まれる、船が沈没するなどが考えられるが、さてどうなるか。

 以上の注目点を念頭に、残り半分となった『相棒』をご覧いただければ、より楽しめるハズだ。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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