スマホで家計を逼迫させる低所得者
とはいえ、そういった一部の高所得者層を除く大半の人がスマホを使用している。それは、なぜだろうか?
「低所得者層の中には、自分のステータスを上げるものとしてスマホを使っているケースが多く見られます。PHSを利用していると、『お金に余裕がないと思われる、恥ずかしい』と感じるのです。要するに、見栄を張りたいということでしょう。私に『家計が苦しい』と相談に来る人の中にも、このような人は非常に多く、食費もお小遣いも抑えているのに、通信費だけで2万円も3万円もかかっているのです。経済的に厳しいのであれば、PHSのような料金を抑えられる選択をするべきところを、『それは嫌です』とかたくなに拒みます。もちろん、機能的に便利なので変えたくないというのもあると思いますが、やはり『他人から、よく思われたい』という理由が一番大きいように感じます」(同)
確かに、お気に入りのケースやアクセサリーをつけるなど、スマホをファッション感覚で所持している人は多い。それがいいか悪いかは別にしても、ほかの出費を削ってまで、そんな見栄にこだわる必要があるのかどうかは疑問だ。
「家計を圧迫させている原因はいくつか考えられますが、その中でも非常に大きいのは、やはり見栄です。昔は『よそはよそ、うちはうち』という考えの家庭が多く、『自分と他人の経済環境は違うのだから、当然できることも違う』という共通認識がありました。しかし、最近はその考え方が薄れつつあり、他人が持っているものを同じように欲しがったり、人から好印象を抱かれたいがためにいい服を着たり、いい車に乗ったりするようになってきています。経済的に苦しいのに無理をして高いものを買えば、自分の首を絞めることになるのは当然です。その結果、肝心な時にお金を出せなくなってしまい、さらに苦しくなる、という負のスパイラルに陥ってしまうわけです」(同)
一度、手にしたものを手放すことは非常に難しい。それが便利なもの、いいものであればなおさらだろう。