エナジードリンクは、カフェインやビタミン、炭水化物、ガラナなどの興奮性成分が入った炭酸飲料です。栄養ドリンクと混同されることも多いですが、栄養ドリンクは医薬品(薬局で販売)や医薬部外品(コンビニエンスストアなどで販売)で、エナジードリンクは清涼飲料水という違いがあります。
また、薬事法上、エナジードリンクには「滋養強壮効果がある」とされるタウリンを使用することはできないため、代わりにアルギニンが使われています。
近年、新製品が続々と登場して種類が豊富な上、広告効果もあって、エナジードリンクの人気が高まっています。しかし、15年11月、アメリカの有名総合病院「メイヨー・クリニック」の研究チームにより、エナジードリンクの危険性を報告する論文がアメリカの医学誌「JAMA」に発表されました。【※1】
同研究では、平均29歳の健康な成人25人を対象に、日本でも販売されているRockstar社のエナジードリンク「ロックスター」と、味や色はロックスターと同じですが、カフェインや興奮性成分を抜いた対照飲料が、心臓や血管系に与える影響を比較しています。
その結果、エナジードリンクを飲んだ後は、対照飲料を飲んだ後より血圧が高くなり、体がストレスを感じた時に放出されるホルモンのノルエピネフリンの血中濃度が73.6%も上昇しました。研究チームは、「このような急激な変化は、循環器疾患のリスクを増加させる可能性がある」と指摘しています。
エナジードリンク×アルコールで悪酔いするワケ
実際、健康な若者でも、エナジードリンクによって心筋梗塞や不整脈が引き起こされ、命にかかわるケースがあることも報告されています。エナジードリンクを飲むと、血圧や心拍数、血糖値、コレステロールの上昇などの変化が起こり、心血管系に大きな影響を及ぼし、重大な疾患につながります。
アメリカでは、10~13年の間に、エナジードリンクによる副作用で約5000人が救急搬送されました。
特に危険なのは、アルコールとの併用です。エナジードリンクを混ぜることで、アルコール単独で飲む場合よりアルコール摂取量が増え、血中アルコール濃度が高くなることが明らかになっています。