(制作を担当する名古屋テレビ放送のHPより)
1999年の年末から2000年にかけて、当時独身だった晃子さんは友人ら数名でニューヨークへ旅行をした際、筆者宅に滞在した。その時、晃子さんはすでに将来のご主人となるレオナード・テレニンさんと交際中。福岡市内に勤務していた晃子さんは、同じ福岡県内ながらもやや離れた場所で働くテレニン氏とは、中距離恋愛を続けていた。お互いが若く、多忙な日々は、小さなすれ違いも生んでしまうもの。
特に外国人労働者のテレニンさんは、同じ職場のロシア人の同僚などと勤務外の時間を過ごすことが多かったとのことで、「せっかく週末に会いにきたのに、友達と遊んでばかり。普段なかなか会えない分、いろいろ話したいのに」と晃子さんが不満げであったことを思い出す。またお酒に強いロシア人ならではなのか、「彼は友人たちとウォッカなどを飲んでいるため、お酒の匂いも好きじゃないし、翌朝は二日酔いで大変なんです」と私たちに愚痴をこぼしていた。
そもそも彼女が観光先にニューヨークを選んだのも、テレニンさんが1つの要因。彼とお正月休みの予定について些細な言い争いになったことで、友人との旅行を計画してしまったのだ。さらにはロシア人であるテレニンさんはビザの関係から、日本人のように観光でふらりと海外を訪れることが難しく、「友だち同士で、それもアメリカだと彼も文句が言えないし、ついてくることもできないから」という理由で、ニューヨークを選んだのだ。
加えて、旧知の仲であった筆者がしばらく前からニューヨークに住み始めていたことなどもあり、筆者宅に滞在することでゆっくり観光ができるという理由もあった。
そんな晃子さんが、ニューヨークにしばらく滞在するうちに、テレニンさんに対する考え方が変わってきたのである。
気のおけない友人たちとの共同生活で、わいわいがやがやと楽しい中にあっても、そこはやはり海外。些細な苦労も多い。食事や買い物に行っても、日本のように思い通りにはいかないことばかり。ホテルではなく、ごく普通のアパートに滞在したことで、短いながらも「海外で生活する外国人の苦労」を味わった晃子さん。旅が終わりに近づくにつれ、
「外国での生活は大変なんですね」
と、筆者へ呟いていたのを思い出す。
そして晃子さんは、帰国した翌々年にテレニンさんと結婚し、出産。その物語をぜひ、今夜のドラマでご覧いただきたい。
(文=田中秀憲/NYCOARA,Inc.代表)
●田中 秀憲(たなか・ひでのり):NYCOARA,Inc.代表
福岡県出身。日本国内で広告代理店勤務の後、99年に渡米独立。04年、リサーチ/マーケティング会社、NYCOARA, Inc.を設立。官庁/行政/調査機関/広告代理店などのクライアントを多く持ち、各種調査や資料分析などを中心に、企画立案まで幅広い業務をこなす傍ら、各メディアにて寄稿記事を連載中。小泉内閣時代には、インターネット上での詐欺行為に関するレポートを政府機関に提出後、内閣審議会用資料として採用され、竹中経済産業大臣発表資料の一部となった。