企業のペーパーレス推進やコロナ禍によるテレワークの急速な広がりで、近年はオフィス文具や勉強文具のデジタル化の波が来ている。とはいえ、まだまだ実用的とはいえないデジタル文具も多数流通しているのも事実だ。
今回は、大手家電量販店・ヨドバシカメラの通販サイト「ヨドバシ.com」の商品の中から、買うと後悔しそうなデジタル文具を5つ紹介しよう。
デジタルペーパーDPT-CP1/4万5100円
ソニーが開発・販売している「デジタルペーパー」。その名の通り、文字や絵を専用のペンでディスプレイ上に書き込めるデジタルデバイスだ。基本的な機能は従来の“ノート”と同じ。書き込んだものがその場でPDFファイル化されるので、文章や文字の検索ができるなどの特徴はあるが、あまりにも機能がシンプルすぎる。紙に書くのと比べてスキャンする手間が省ける程度の利点しかないので、これに5万円以上払うのは、なかなか勇気がいるのではないだろうか。
一方、iPadなどのタブレット端末なら、メモやPDFへの書き込みはもちろん、電子書籍も読めてネットサーフィンもできるので、機能性の面で軍配が上がる。在宅ワークで紙ゴミを絶対に出したくない、という人もいるかもしれないが、それならば多機能なタブレットの方がお得では……。
気づかせメモ カクミル/1万2770円
キングジムの「カクミル」は、電子ペーパーディスプレイに付属のデジタルペンで文字が書き込める電子メモ。ペンの置き場所をくぼませたり、立てて置けたりとデザイン面へのこだわりは感じられるが、搭載されている機能はメモ、カレンダー、アラーム、ToDoリスト、電卓の5つのみだ。
カクミルの機能はスマホで代用できてしまう上、厚みがあるので持ち運びには不向き。固定電話の横に置き、メモ帳やカレンダーとして使うほかに活躍の場はなさそうだ。
アンキスナップ暗記用マーカー/411円
デジタルとアナログの中間文具として話題になった、ぺんてるの「アンキスナップ」。教科書や資料など暗記したい部分をアンキスナップでマーキングして専用アプリで読み込むと、マーカー部分が黒く塗りつぶされる、というアイデア文具だ。
ディスプレイ上の黒塗り部分をタップすれば解答が見える、というものだが、わざわざ電子化するメリットは微妙。一方で、ユーザーレビューでは「マーカー部分がアプリに認識されない」など精度の低さが指摘されている。今後、精度がアップすれば人気が出るかもしれないが……。
デジタル英会話学習機 joy study/9650円
最近はコロナ禍で遠出できず、唯一の楽しみは近所のランニングだけ……という人も多いだろう。カシオの「ジョイスタディ」シリーズは、そんなランニング中などの隙間時間に英会話が学べるデジタル英会話学習機だ。
日常英会話モデルには「デイビッド・セインのデイリースピーキング」と英単語の暗記につながる「キクタンシリーズ」、接客英会話モデルには英語応対能力検定公認教材と「デイビッド・セインのデイリースピーキング【接客英会話】」が収録され、ユーザーの目的に合った英会話学習ができる。
“英語のリスニングに特化している”というだけあって、主な機能は英語のリスニングのみ。収録されているテキストを個別で買うよりはコストパフォーマンスがいいが、録音機能もなく音楽再生もできないなど、リスニング以外の機能はない。「シンプルすぎて飽きてしまった」という声もあり、質実剛健さが仇になったようだ。
ペン型スキャナー辞書 ナゾル2/3860円
小型軽量化が進む電子辞書。シャープからリリースされた「ナゾル2」は約90グラムのペン型辞書で、書籍や資料の中のわからない単語をスキャンすると、和訳してディスプレイに表示してくれるという新世代の電子辞書だ。
確かに便利そうなアイテムだが、読み取り力の低さにガッカリする声が多数上がっている。特に専門書や英語雑誌など、行間に余白が少なく文字が小さい場合は認識できず、誤訳してしまうとか。“遊べるガジェット”と割り切るには少々高い値段も、残念ポイントのひとつ。英語の教科書など余白が多い文章なら誤訳は少ないそうなので、小中学生の夏休みの宿題には使えるかもしれないが……。
アナログからデジタルへの転換期を迎えている文具業界。消費者のニーズにフィットしたデジタル文具もあるが、ここで紹介したように、精度が低いわりに高額だったり、「これ、アナログのままでよくない?」と感じたりする商品も多く、玉石混交のカオス状態にある。
それでも失敗したくないという人は、ヨドバシ.com内の「デジタル文具人気ランキング」を見るのもアリ。サイト内で人気の商品が一目瞭然なので、きっと参考になるはずだ。
(文=清談社)