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脳出血で要介護4になった私が、老人ホームではなく自宅生活を選択・実践する理由

文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会
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脳出血で要介護4になった私が、老人ホームではなく自宅生活を選択・実践する理由の画像1「Thinkstock」より

 年をとり次第に体力が衰え、介護が必要になってくると、自分一人で暮らすのは難しくなります。そこで、どこで誰と暮らしたら快適で、過ごしやすいのかが切実な問題になってきます。

 自宅で子供に面倒を見てもらうのが良いか、施設に入って職員に介護してもらうのが快適か、多くの老人は悩みます。子供に面倒をみてもらうのは安心で心強いかもしれませんが、子供の人生を犠牲にしてしまうおそれがあります。介護施設については、虐待や暴行のニュースが相次いでいるため、躊躇する人も多いかもしれません。

 また、かかる費用も自宅と施設では異なります。自宅で介護を受ける場合、一定の時間を過ぎると介護保険の適用外になるため、その部分は10割負担になり、自分の望む介護を受けようとすると、いくら費用がかかるのかわかりません。一方、施設に入居する場合は入居時に入居一時金が何千万円か必要なうえ、月々の費用として30万円くらいかかる施設が多いようです。入居一時金が払えず有料老人ホームに入居できない方もいらっしゃいます。しかし、有料老人ホームの場合、かかる費用があらかじめ決まっているので、経済的に生活設計しやすい面があります。

 者は数カ月前まで、介護が必要になったら有料老人ホームに入居するつもりで、施設の見学をしてきました。ところが、4カ月前に突然、脳出血を起こし、病院に入院することになりました。要介護4で、起き上がることもトイレに行くことも、はっきり話すこともできなくなってしまいました。

 入院後1カ月以内にリハビリテーション病院に転院し、リハビリを受けることにしました。転院直後はまだ自由がきかないので、病院のスタッフにトイレに連れて行ってもらわなければなりませんし、お風呂にも入れてもらわなければなりません。その病院のスタッフは、患者に対して言葉使いも丁寧で、人権も尊重してくれました。とても親切で、虐待や暴行とは無縁の方たちでした。

 本当に素晴らしいスタッフたちでしたが、残念なことに人手が足りませんでした。人手が足りないということは、ナースコールを押してもなかなか介護スタッフが来てくれないということで、お手洗いに行きたくても何十分も待たなければなりませんでした。お手洗いにすぐ行けないのは健康的にも精神的にもよくないし、自然ではありません。

 老人ホームではもっと人手が足りないので、お手洗いに行きたい時に行けず、待たされることは日常茶飯事で、見学に行ったホームでも待たされている老人を目にしました。

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

(立教大学ドイツ文学科)卒業後研究室で副手を1年務め結婚。女児2人を出産し、下の子が3歳になったときに(中央大学法学部)に学士入学。法律の面白さに惹かれ、卒業後も勉強を続ける。宅建とFP試験に合格(CFP、宅地建物取引士)。その直後夫の赴任に伴いアメリカに約8年居住。帰国後FPとして働き始める。講演、相談、執筆を行う。その間、簡易裁判所、家庭裁判所で調停委員、参与員、司法委員を定年まで勤める。
著書:「100歳まで安心して暮らす生活設計」(共著)、「どっちがお得?定年後のお金」(共著) ‘高齢期のお金を考える会’メンバー。高齢者施設を多数見学し、高齢者施設の種類、内容、注意点、選び方等を勉強する。

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