筆者が初めて新型コロナウイルスについて情報発信したのは、2020年1月23日付当サイト記事『多くの中国人、新型肺炎拡大知らず…24日から中国人が大量来日、感染を防ぐための注意点』だった。その後も新型コロナに関するさまざまな記事を執筆してきたが、今回、より身近で新型コロナの実態を知る機会があった。
高校生の息子が新型コロナに感染したのだ。その経過をそばで見ながら感じたことは、現在、感染症法上「2類相当」に分類されている新型コロナを、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げるべきではないかという思いだった。症状には個人差があるため、あくまでひとつの症例ではあるが、読者諸氏はどう感じるだろうか。
息子にとって毎年、花粉の季節は少し憂鬱だ。なぜなら喘息の基礎疾患があり、花粉が症状を悪化させることがあるからだ。普段は、喘息は落ち着いていており、治療薬も使っていない。しかし、花粉の飛散量が多い時などは、喘息の症状が出ることがある。1歳半頃に発症した喘息とは長い付き合いで、息子は体調の変化で喘息の予兆に気づく。そんな時は、喘息の吸入薬と飲み薬の予防薬を飲むとすぐ落ち着き、喘息発作が出ることはない。ある日、息子が「喘息が出そう。喉の奥のほうと、息を吸い込んだときに違和感ある」と言った。喘息が出るたびに同じような前兆があり、今回も喘息としか疑っていなかった。
喘息の予兆を感じた息子は、手持ちの吸入薬を使った。するといつものように落ち着き、翌日も朝から体調も良く、いつもどおり登校した。ところが、学校に着くと咳が出始め、友人や先生の勧めもあり早退し、帰宅した。その日も吸入を行い、程なく症状は落ち着いたため翌日は登校し、1日を過ごし帰宅した。同日、夕食ごろから頭痛が起き、翌朝、医療機関を受診し、念のため新型コロナの抗原検査を行ったところ、陽性であった。その後、学校へ連絡、学校から保健所へ連絡し、10日間の自宅隔離を言い渡された。
喘息という基礎疾患があるため重症化するのではないかと非常に不安を覚えたが、その経過は予想とはまったく異なっていた。
発症1日目:喉の奥の違和感、呼吸時に喘息の前兆のような感じ。ステロイドの吸入薬で症状は落ち着いた。
2日目:起床時の体調は問題なく、登校。学校へ着くと咳が出始め、喘息が悪化しないように早退。帰宅し、喘息の薬を服用し休養、夜には体調が回復。
3日目:体調が回復し、学校へ。帰宅し、夕方に急激に頭痛に襲われる。発熱はなし。
4日目:頭痛と37.6度の発熱あり、医療機関を受診。抗原検査で新型コロナと診断される。解熱剤服用。
5日目:風邪様の症状、喉の痛み、頭痛、倦怠感、悪寒あり、発熱なし。
6日目:症状は快方へ向かう。
7日目:風邪症状軽減、腹痛、下痢→セルフ抗原検査で陰性。
8日目:抗原検査陰性
9日目:軽い咳が残るが回復
10日目:自宅隔離終了→医療機関抗原検査陰性
同居する筆者への感染が危惧されたが、幸いにも感染しなかった。同じ家の中で隔離といっても限界があるが、基本的に息子は自分の部屋で過ごし、食事も部屋でとり、トイレは使用のたびに除菌シートで拭き、入浴は息子が最後にするなどの対策を厳守し、自宅内での接触を徹底的に避けた。また、換気のためすべての窓を常時20~30cm開け、夜間は防犯上、問題ない箇所を開けて、換気扇がある部屋は換気扇をつけるなどの対策を行った。
オミクロン株は、感染力が凄まじいと言われていたが、筆者のように家族間感染がなかった例もある。一般的にオミクロン株では、重症化は稀であり、第6波でまん延防止等重点措置が取られていたことには疑問を感じる。今後もコロナとの共存は長期化することが予想されるが、新型コロナの分類を2類相当から5類へ引き下げることを検討する時期が来ているのではないだろうか。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)