日本の少子化が問題となっているが、セックスレスもまた大きな問題となっているようだ。
コンドーム市場で世界シェア4分の1を占めるメーカー、デュレックス社が、世界各国のセックスに関する調査結果をHP上で公開している。調査は2006年のもので少し古いが、調査方法はウェブアンケート、調査人数は世界26カ国の2万6000名以上となっている。
その調査結果をみてみると、「1週間以内に性交渉がありましたか」という質問に対して「はい」と回答したのはギリシャが一番多く87%で、スペインは72%、アメリカは53%という結果になっている。そして、ワースト1位の日本はたったの34%。日本以外の各国は50%以上の人が「はい」と回答しており、同じアジア圏の国を見ても中国が78%、タイが65%であることからも、日本は際立ってセックスの回数が少ないようだ。
また、日本のコンドームメーカーである相模ゴム工業株式会社も「ニッポンのセックス」というセックスに関する調査結果をHP上で公開している。調査は13年のもので、調査方法はウェブアンケート、調査人数は1万4100名となっている。「結婚相手・交際相手と世間一般にいうセックスレスだと思いますか?」という質問に対して「セックスレスだと思う」と回答したのは交際中の人で29%、既婚者では55.2%。特に40~50代の男性は「セックスレスだと思う」と回答した割合が60%にも上っている。
本能を曝せない日本人
では、なぜ日本にはこんなにもセックスレスの人が多いのだろうか。『幸せな離婚 自由に生きるって気持ちいい!』(生活文化出版)の著者で「週刊新潮」(新潮社)などに連載を持つライター吉田潮氏は語る。
「恋愛においてセックスが最重要課題と考える人もいれば、一切不要と考える人もいるはず。ただ、ほとんどの人が『それなりに重要だけど、最優先ではない』というスタンスだと思うのです。この曖昧な幅が問題なのですよね。例えば、人生におけるセックスの優先順位を『3番目と考えている男性』と『10番目と考えている女性』は価値観が違うから、うまくいかなかったりする。セックスの優先順位が近い相手じゃないと、いつか齟齬が生じて『セックスレスだ』という不満が生まれるのでしょう」
たしかに、当サイト編集部の調べによると「セックスは愛を確かめる行為だから重要」(29歳・男性)や「好きな人としたくなるのは普通」(23歳・男性)、「別にセックスをしなくても恋愛はできる」(24歳・女性)などと、意見はさまざまだ。
「でも、意味を考える人ほどセックスから遠ざかる傾向にある気がします。本能に意味はないですから。日本人はセックスをする意味を考えすぎなのかもしれませんね。相手の顔色をうかがい、嫌われないように振る舞い、自分の快感を置き去りにするセックスばかりしている人は自分を蔑ろにしていますし、『愛の証し』と大上段に構える人ほどつまらないセックスをしている。セックスは相手への愛や忠誠心の証しではなく、自分を曝け出し、本能を共有する行為と思ったほうがいいのではないでしょうか」(吉田氏)
吉田氏の見方を裏付けるかのように、一般の人々からも次のような意見が聞かれる。
「思わせぶりな態度をとるくせにセックスだけはさせてくれない女性が多い。もったいぶらないでほしい」(32歳・男性)
「夫はあまり性欲が強くないし、自分から誘うのはなんだか恥ずかしい。そのせいでセックスレスになっていると思う」(33歳・女性)
やはり、日本人は本能を曝け出すのが苦手な傾向にあるのかもしれない。
中途半端な性教育
では、なぜ日本人はこんなにもセックスに対して奥手なのだろうか。
その一つの要因として、“中途半端な性教育”が指摘されている。日本は先進国の中でも、性教育に関しては後れを取っている。日本での性に関する授業といえば、男女の身体の違いや性感染症のリスクについてくらいのもの。一方、オランダでは小学生のうちから暗闇の中でコンドームを付ける練習をしたり、フィンランドでは中学生向けに「人間生物学」という教科書があり、セックスや自慰行為、避妊などについて詳しく教えているという。
子どもの頃からしっかりとした性教育を受けさせることが、日本のセックスレス問題を解決する糸口になるはずだ。そのためにも、まずは大人が正しい性の知識をつける必要がある。
(文=千葉雄樹/A4studio)