セックスレスや少子化が日本で叫ばれるようになってから久しい。実際、コンドームメーカー・相模ゴム工業が2013年に1万4100名を対象として行ったアンケート「ニッポンのセックス」では、「結婚相手・交際相手と世間一般に言うセックスレスだと思いますか?」という質問に対して「セックスレスだと思う」と回答したのは交際中の人で29.0%、既婚者では55.2%という結果に。また、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計した数値である合計特殊出生率は、1981年には1.74もあったが、最も低かった06年の1.32よりはやや回復しているものの13年は1.43(概算値)となっており、セックスレスの影響が反映されているといえるような結果となっている。
合計特殊出生率の低下は、長引く不況により各家庭に経済的余裕がなくなったことも一因であろうが、セックスレスに関しては「結婚後・出産後の妻を女性として見られなくなる夫」が増えてきているためとの指摘も多い。
●妻を神聖視してしまい、性欲減退
当編集部が一般既婚男女へアンケートを行ったところ、セックスレスや夫が妻を女性として見られなくなることに、「愛して結婚した人を女性扱いしないなんて最低」(33歳・女性・結婚歴9年・子1人)というように、多くの妻が不満を抱えているようだ。
だがもちろん夫側の言い分もあり、「“女性”として見られないことをそこまで否定的に捉えなくてもいいのでは? 家族の一員となるのだから、そういうこともある。むしろ“男女関係”以上のかけがえのない絆ができた結果なのだから、不満を持つなんておかしい」(36歳・男性・結婚歴3年・子1人)というような意見も少なくなかった。
夫婦間でのこうした考え方のズレについて、『幸せな離婚 自由に生きるって気持ちいい!』(生活文化出版)の著者で、「週刊新潮」(新潮社)などに連載も持つライター・吉田潮氏は次のように分析する。
「そのズレには、さまざまな背景があるのではないでしょうか。まず、『こんな太ったりシワの増えた女房は俺の性欲解消装置として不合格』といった身勝手な考え方で、セックスをしないという夫もいないとはいえないですが、そういう人は少数派だと思います。多くの旦那たちはそこまで高飛車ではないでしょう。ではどんな理由があるかといえば、実は繊細な男が多く、出産を経て“妻”から“母”になったパートナーを神聖な存在と見るようになり、とてもじゃないけれど自分の薄汚い性の対象になぞできない……という気持ちが芽生えているからじゃないでしょうか。そこまでの神聖視はしていなくとも、結婚・出産を経験したことで親近感が異様に高まってしまい、妻とのセックスに近親相姦的な感覚が生まれてしまっているというケースもあるのではないでしょうか」