iPhone5出荷量40%減!? Appleの大失速でシャープ再建も暗礁に
プレステの父に「スマホブームは一時的なもの」と切り捨てられたスマホ業界では、今、アップル経済圏に激震がもたらされている。アップルの失速は、iPhoneの躍進を陰で支えてきた日本の電子部品メーカーの業績に多大な影響を及ぼすからだ。
工作機械大手のファナックは、13年3月期の連結経常利益が、前期比19%減の1850億円になる。これは、従来予想を270億円下回る。iPhoneを製造する受託製造サービス企業(EMS)に、ファナックの製品は数多く納入されている。ファナックは昨年、iPhoneの増産を見込んで新工場(茨城県)を稼動させたが、iPhone製造に多く使われるロボドリルを自動車部品製造向けに売り込むなど、アップルへの依存度を下げる路線の変更に忙しい。
半導体検査装置大手のアドバンテストは、13年3月期の連結営業利益を前期比7~19倍の60~160億円としてきたが、下限(60億円)を大きく下回り、25億円になりそうだ。iPhone 5の減速で、半導体検査装置の受注が先細ったためだ。
TDKは、13年3月期の連結営業利益の見通しを、410億円から190億円に下方修正。iPhone 5向けの出荷減に伴い、13年1~3月期の電子部品需要が計画を大幅に下回る見通しになったためだ。
京セラも同期の連結営業利益見通し(米国合計基準)を、従来予想の1000億円から730億円に下方修正。iPhone 5の1~3月期生産量を当初計画より引き下げた。村田製作所は、1~3月期については、アップル向けの減少に対して他社からの受注増で補う。iPhone 5の大幅減産は、日本の電子部品業界に強烈な逆風となっている。
株式市場ではアップル関連株がさえない。電子部品を供給するTDKや村田製作所、イビデン、日本航空電子、ヘッドホンを納入しているフォスター電機などで売り物が先行した。iPhone特需が終わったという見方が広がったことによる。
“アップルショック”が最も大きかったのは、液晶パネルを納入しているジャパンディスプレイとシャープだろう。中小型の液晶ディスプレイの世界大手、ジャパンディスプレイは昨年4月に発足した。同社株(議決権ベース)の70%を政府系ファンドの産業革新機構が保有し、残りをソニー、東芝、日立製作所がそれぞれ10%ずつ保有している。
最新鋭の能美工場(石川県)では、iPhone 5の出荷を支えるべく、アップル向けに昼夜兼行でフル操業が続いてきた。15年3月期に株式公開を計画、革新機構は保有株を売却して公的資金を回収するとのシナリオを描いていた。