新型コロナウイルス感染拡大で厳しい経営環境下にある温泉旅館が、思わぬ風評被害を受けているようだ――。
オンラインサロン「田端大学」の公式メディア「BIG WAVE」運営者で“Webメディアのプロ助っ人”(本人のTwitterアカウントのプロフィールより)、よりかねけいいち氏は10日、以下のようにTwitter上で投稿した。
「Go Toでちょっと高い旅館に泊まったら、大失敗。出てきた夕食がこれ。さらに天麩羅とごはん、お吸い物。多すぎて到底食べきれない。シニア層がメインターゲットのはずなので、つまり廃棄前提(としか思えないし、実際にかなりの廃棄が出ているはず)。不味くはないけど、体験価値としては……」
「場所は万座温泉です。泉質は全国一好きなので、日帰りでは相変わらず通うけど(入浴だけは最高 of 最高。みんな行くべし)、もう二度と泊まらないかな。昔は食べきれないほどのご馳走を出すのが、勝ち方のセオリーだったのかもしれないけれど、明らかに時代遅れ」
しかし、このツイートと共に投稿された料理の写真について、ネット上では「取り皿やメニュー分のスペース、小鉢の量を見ると、食べきれない量とは思いません」などという意見が出ていたのだが、「田端大学」運営者で塾長の田端信太郎氏が以下のようにツイートし、事態は思わぬ方向に発展する。
「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティングだよ」
「なんか、このご時世にあの温泉旅館、半年先までいっぱいになったらしいですよwww 炎上マーケティング大成功じゃないですかw いやあ、#田端大学 の塾長としては誇らしいww」
「『万座温泉』の炎上ステマの依頼主は、官邸から電通経由で官房機密費10億円だって、ずっと言ってるのにね!
「官邸から電通経由でステマ炎上マーケティング費用を10億円ほど #田端大学で受注してるからね」
よりかね氏や田端氏は一連のツイートで、あくまで「万座温泉」と記述して、具体的な温泉旅館の名前には触れていなかったが、よりかね氏が投稿した料理の写真が群馬県万座温泉の旅館「万座亭」のものであることが判明し、「万座亭」がステマをやっているのではないかという疑いが浮上した。
そこで「万座亭」担当者に取材したところ、「料理の写真は当宿の旅館で提供しているものです」といい、田端大学に炎上マーケティングの依頼をしたとされている点について、次のように否定する。
「当宿がインターネット上などで批判を受けていますが、一切関与しておりません」
また、田端氏が「あの温泉旅館、半年先までいっぱいになったらしいですよ」と投稿している件についても、「そうした事実はありません」と否定する。ちなみに「万座亭」はHP上でも「SNSで取り沙汰されている件につきまして、当宿で宣伝目的の依頼などは一切しておりません」というリリースを掲載している。
田端氏「嘘を嘘と見抜ける人じゃないと、Twitterやっちゃダメ」
田端氏といえば、LINEの上級執行役員(広告担当)やZOZOの執行役員(広報/ブランディング担当)などを歴任し、『メディアの主導権は消費者へ 広告の新しい現実』や『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい』など多くの著書を持つことで知られているが、今回の騒動を受けて次のようにツイートしている。
「いや、だから、分かれよw どこまでバカなんだよ、オマイラは 嘘を嘘と見抜ける人じゃないと、Twitterやっちゃダメなんだぞ!」
「田端大学がTwitterのトレンド入りしている! でかしたぞ!@k_yorikane 寄金さん!! 燃えないゴミは、ただのゴミだ。炎上できることは才能なんだ。おまえらミジンコが出すクソが、燃料になって我々は前に進むんだよ」
「『万座温泉』という地名しか出してない冗談を個別の旅館に事実確認して『事実無根』って当たり前だよ。脳みそと心に余裕のない人が多いな」
よりかね氏や田端氏の行為について、IT企業広報担当者はいう。
「今の時代、SNS上に写真を投稿すれば、すぐにその場所や店が特定されます。今回のように『万座温泉』という地名と共に温泉旅館が料理を投稿されて、ネット上で影響力のある人物から“ステマ”“炎上マーケティング”だとレッテルを貼られれば、風評が広がって大きな営業的ダメージを被る可能性もあります。ただでさえコロナ禍で苦しい観光業にとっては、本当に迷惑な話だと思います」
前出・万座亭担当者の「私どもは温泉旅館としてやっていくだけです」という言葉が重い。