ついに万座温泉観光協会が声明を発表する事態にまで発展した――。
オンラインサロン「田端大学」の公式メディア「BIG WAVE」運営者で“Webメディアのプロ助っ人”(本人のTwitterアカウントのプロフィールより)、よりかねけいいち氏は10日、以下のようにTwitter上で投稿した。
「Go Toでちょっと高い旅館に泊まったら、大失敗。出てきた夕食がこれ。さらに天麩羅とごはん、お吸い物。多すぎて到底食べきれない。シニア層がメインターゲットのはずなので、つまり廃棄前提(としか思えないし、実際にかなりの廃棄が出ているはず)。不味くはないけど、体験価値としては……」
「場所は万座温泉です。泉質は全国一好きなので、日帰りでは相変わらず通うけど(入浴だけは最高 of 最高。みんな行くべし)、もう二度と泊まらないかな。昔は食べきれないほどのご馳走を出すのが、勝ち方のセオリーだったのかもしれないけれど、明らかに時代遅れ」
だが、このツイートに掲載された料理の写真に対して、ネット上では「取り皿やメニュー分のスペース、小鉢の量を見ると、食べきれない量とは思いません」などという意見が続出すると、「田端大学」運営者で塾長の田端信太郎氏は以下のようにツイートした。
「田端大学で請け負った万座温泉の炎上マーケティングだよ」
「なんか、このご時世にあの温泉旅館、半年先までいっぱいになったらしいですよwww 炎上マーケティング大成功じゃないですかw いやあ、#田端大学 の塾長としては誇らしいww」
「『万座温泉』の炎上ステマの依頼主は、官邸から電通経由で官房機密費10億円だって、ずっと言ってるのにね!」
「官邸から電通経由でステマ炎上マーケティング費用を10億円ほど #田端大学で受注してるからね」
まるで万座温泉がステマを行っているかのような記述だが、事態を重く見た万座温泉観光協会は14日、公式サイト上で次のように表明し、田端氏の投稿内容を否定した。
「SNSで取り沙汰されている件につきまして、当協会では宣伝目的の依頼などは一切しておりません」
田端氏「田端大学がTwitterのトレンド入りしている! でかしたぞ!」
さらに、よりかね氏が投稿した料理の写真が旅館「万座亭」のものであることが判明し、「万座亭」にも批判が寄せられる事態となっていたが、「万座亭」担当者は「Business Journal」の取材に対し、次のように語っている。
「料理の写真は当宿の旅館で提供しているものです。当宿がインターネット上などで批判を受けていますが、一切関与しておりません。私どもは温泉旅館としてやっていくだけです」
田端氏といえば、LINEの上級執行役員(広告担当)やZOZOの執行役員(広報/ブランディング担当)などを歴任し、『メディアの主導権は消費者へ 広告の新しい現実』や『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい』など多くの著書を持つことで知られているが、田端氏は今回の騒動を受けて、次のようにツイートしている。
「いや、だから、分かれよw どこまでバカなんだよ、オマイラは 嘘を嘘と見抜ける人じゃないと、Twitterやっちゃダメなんだぞ!」
「田端大学がTwitterのトレンド入りしている! でかしたぞ!@k_yorikane 寄金さん!! 燃えないゴミは、ただのゴミだ。炎上できることは才能なんだ。おまえらミジンコが出すクソが、燃料になって我々は前に進むんだよ」
万座温泉観光協会や万座亭はいわれのない風評を拡散され、対応に追われているという被害を受けているわけだが、今回の田端氏の行動は法的に問題はないのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は次のように解説する。
【山岸純法律事務所・山岸純弁護士の解説】
私は、このよりかね氏、田端氏という方の人となりは知りませんが、この手の「あとから、いくらでもひっくり返して釈明できるようなネタ」をふり、注目を浴びようとたくらむような方がメディアを語ることについて、まったくもって賛成できません。
以前、どこかの女性芸能人が「グリーン車なのに、子どもが泣きわめいて最悪だった」といった投稿をした際、ネット上で叩かれはじめると、今度は突然、「こういう議論がしたかっただけなの」などと苦しい釈明をしたことがあります。また、蓮舫議員の二重国籍が問題になった時、一度は自身の二重国籍を否定した彼女が突然、「ダブルルーツがどうのこうの」などと釈明したことがありますが、これも、あとからカタカタ語を使ってごまかしに入ったという政治家としての資質を欠くことを証明してしまった結果となった次第です。
今回の件も、Twitterを利用する多くの勘違いをした方々同様、単に「〇〇温泉に行ったら、思ったようなサービスじゃなかったので、オレが注目を浴びることができるネットの中で懲らしめてやれ」程度の、安易な考えで投稿したのでしょう。そうしたら、思わぬ反論などがあったため、あと知恵的に「実は、こうだったのだよ!」などとしたり顔で語っていることが大いに想像できます。
さて、真相は、しょせん、上記のような低いレベルの話でしょうが、仮に「わざと第三者に対するネガティブな内容の表現行為をし、いわゆる“ネット上の炎上”を起こした」のであれば、偽計業務妨害罪(刑法233条。3年以下の懲役刑か50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。
すなわち、「夕食が多すぎる」という意見だけではなく、「実は、この旅館、政府のカネでステルスマーケティングをしている」などという虚偽の事実をネットで広めた結果、「当該旅館が、悪い風評が広まったり批判を受けるなどした」のであれば、まさに「虚偽の風説によって業務が妨害された」ということになります。
これに対し、田端氏は、「Twitterにはウソもある」「万座温泉としか言ってない」などと苦しい弁明をしていますが、こんなことで罪の成立が免れるようなことはないでしょう。
自らがもつネット上の影響力をいたずらに使用し、コロナ禍で苦しむ観光業をネタに自身への注目を集めようとするような方は、ネット上の表現を、今一度、真摯に考え直すべきです。