ディズニー公式アプリのユーザーが激減…楽天トラベルは“Go Toの恩恵”で驚異の盛り返し
ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、2020年第3四半期(7~9月)のアプリ利用動向を聞いた。
“半沢直樹効果”でTVerユーザーが増加?
――7~9月のアプリの利用動向はいかがでしたか?
日影耕造氏(以下、日影) 時期的には、コロナ第2波の懸念があり、コロナ禍ではゴールデンウィーク以来の長期休暇となるお盆もありました。そのような中で、アプリがどう使われていたかを見ていきましょう。
やはり強いのはコンテンツ系でした。特に動画系ですね。「TVer」が順調に伸ばしています。「Amazonプライム」「Netflix」といったグローバルな競合がある中、伸び率は穏やかですが、確実に底上げされていることがわかります。
――動画アプリが数多ある中で、TVerならではの強みはどういった点でしょうか。月額制のNetflixやAmazonプライムと違い、基本的に無料で使える点は大きいですよね。
日影 他には、全国の民放テレビ局が連携し、地域ローカルも含めた番組を提供するコンテンツ力の強さですね。7~9月に放送された人気ドラマ『半沢直樹』(TBS系)は、最終回直前にそれまでの1~9回全話をTVerで無料配信しました。通常は直前回や初回のみを配信するケースが多いのですが、全話配信で改めて復習した人もいるでしょうし、それなら見てみようか、という新たなファンも取り込めたかもしれません。
――全話無料配信自体が、いい話題づくりにもなったでしょうね。「放送と配信の融合」は数年前から課題となっていましたが、コロナ禍で一気に身近なものになった印象ですね。
ディズニー公式アプリはコロナ禍が直撃
日影 一方で、巣ごもり生活から、それまでの日常に少し戻りつつあるジャンルを紹介します。「レジャー、旅行」です。
図2は、東京ディズニーリゾート公式アプリ「Tokyo Disney Resort App」の月間利用ユーザー数の推移です。アトラクションの待ち時間などがリアルタイムでわかるなど、「その日に施設を訪れる人」向けの機能が中心のアプリです。東京ディズニーリゾートは春休みシーズン直前の2月29日から6月末まで休園していましたが、そうした事情がわかる利用動向になっていますね。
東京ディズニーリゾートのアプリは「コロナ以前」までは盛り返していませんが、コロナ以前を超える好調な回復を遂げたアプリもあります。図3は「楽天トラベル」アプリの月間利用ユーザー数推移です。Go To キャンペーンの影響もあり、2020年9月にはコロナ以前の水準を超えていることがわかります。Go Toに関しては政府の予算枠などについて発言が二転三転しましたから、早く予約を取っておこうとした方が多かったのかもしれないですね。
もはやゲームユーザーは少数派?
――毎回ゲームについてもお話しいただいていますが、今回はいかがでしたか?
日影 昨年の9月と今年の9月で主要ゲームの月間利用ユーザー数を比較してみたのですが、前年比でちょっと割れているんですよ。
――巣ごもり生活が続いている中で、ちょっと意外です。
日影 もともとゲームを利用している方の利用時間が長くなっているのかもしれませんが、月間利用ユーザー数推移では、それはわからないですからね。ゲーム以外の動画などの選択肢に目が向いた方が多かったのかもしれません。
もし、コロナがスマホ以前の社会で起きていたら、置き型のゲームやレンタルビデオを利用したり、「Yahoo!掲示板」や「mixi」などのコミュニティサイトを利用したり……という形で巣ごもり生活を送っていたでしょう。しかし、今はスマホを通じて、さまざまなアプリという受け皿がありますからね。その中のひとつの選択肢としてゲームがある、というくらいの感覚になってしまったのかもしれませんね。
――確かに、それまでまったくゲームをしなかった人が「コロナだから」といきなりゲームをするというのも考えにくいですよね。以前お話しいただいた「ハイパーカジュアル」のような、パズルゲーム的なシンプルなものならとっつきやすいですけど、ガチャを回したり、協業して敵を倒したりするようなゲームは、軽い気持ちでやるにはハードルが高いですし。
日影 スマホを通じて、その人に合ったコンテンツやサービスを選べる環境が整ったということでしょうね。
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後編は引き続き日影氏に、米中間で騒動を起こした「TikTok」の最新動向についてうかがう。CMのイメージで抱きがちな「10代のサービス」感とは異なる実態や、動画配信者としては「YouTube」よりも“狙い目”な理由について。
(構成=石徹白未亜/ライター)
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