「COCOA」今年最もダウンロードされた“ヒットアプリ”に…若者より中高年が利用の実態
ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
前編、中編に続き、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に2020年第2四半期(4~6月)のアプリ利用動向をうかがう。今回は、現時点で今年最もダウンロードされたアプリについて。
2020年最大のヒットアプリとは?
日影耕造氏(以下、日影) 激動の2020年ですが、現時点(取材は7月中旬)で一番ダウンロードされている“ヒットアプリ”は何だと思いますか? 「Zoom」や「Uber Eats」よりもはるかに多くダウンロードされたアプリがあるんです。なお、ゲームでもありません。
――となると、コロナ関連のものでしょうか?
日影 はい。新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」です。6月19日にローンチされ、厚生労働省の発表によると600万ダウンロードを突破しています。「Google Play」「App Store」の無料ランキングでも、ほぼ1位をキープしています(※ダウンロード数やランキングは7月中旬時点)。
「COCOA」は今の人々の関心や心配に直結しているということもありますが、やはりアプリは“露出”が物を言うんだな、と改めて思いました。安倍首相が5月の緊急事態宣言解除の記者会見でこのアプリをつくると話し、その後マスコミ各社がいいことも悪いことも含め、こぞって報道しましたよね。
――確かに、これほど広報されたアプリは先にも見当たらないですね。
日影 露出の量がアプリ普及の決め手なんだな、と思いましたね。また、マイナポイントのアプリのダウンロード数も伸びてきています。政府がスマホアプリを用いて必要な情報を提供するという流れは、アプリが生活のインフラとして広く定着、浸透していることの表れだと思います。下図が「COCOA」ユーザーの性年代比です。
――この「アプリ四季報」の連載ではさまざまなアプリのユーザー性年代比を見てきましたが、こんなに中高年層の利用者が多いアプリは初めて見ました。コロナは中高年の方ほど重症化しやすい傾向がありますから、切実さが伝わりますね。
日影 そして、「スマホは若い人のもの」ではなくなってきていることもわかりますよね。スマホは幅広い世代に浸透しており、アプリを通じて何らかのサービスや情報を発信するのは効率がいい、と政府からみなされているというのは、アプリにとって大きな出来事だと思います。
――10万円給付申請では使いにくさで非難轟々だった政府系アプリですが、めげずに政府もあれこれつくり続けているんですね。
日影 そうですね。アプリはつくってからが始まりで、そこから改善していくものなんです。これまでのサービスやプロダクトはローンチした時点で完成形ですが、アプリは明らかに違っていて、ローンチした段階では機能がひとつしかなかったり、不具合があるまま世に出したりすることすらあります。使われて初めて不具合がわかり、それを改善していったり、また反響を見て手直しを加えたりしていくことを前提でつくられているんですよね。
そういった意味では、政府がめげずに次々とアプリを出しているのは、アプリが持つ「つくってからが始まり」という本質的な認識を持っている、とも言えます。
――「コロナと政府とIT」で見ると、台湾は先駆的だなと思っていましたが、日本政府のめげないアプリ対応は「進化」と言っていいのかもしれませんね。日本は「ものづくり」「おもてなし」と「最初から完璧」を求めがちな傾向がありますから、つくる側、利用する側ともに「できてからがスタートであり、どうよりよくしていくか」という視点を持つことは、これからの時代にとても重要なことだと思います。
(構成=石徹白未亜/ライター)
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