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石徹白未亜「ネット依存社会の実態」【アプリ四季報 2020年4~6月】

定着したZoom人気をマイクロソフト「Teams」が猛追…グーグル「Classroom」も利用が急増

構成=石徹白未亜/ライター
定着したZoom人気をマイクロソフト「Teams」が猛追…グーグル「Classroom」も利用が急増の画像1
Microsoft Teams | リモートワークのためのコラボレーションツール」より

 ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。

 本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。

 同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に、新型コロナウイルスで緊急事態宣言が出され、その後解除され、と社会が大きく変化した2020年第2四半期(4~6月)のアプリ利用動向を聞いた。

Zoom人気は健在、スマホ利用が増加

――この連載では、四半期ごとのアプリ動向についてうかがっています。前回は、コロナ禍が本格化し、社会が激変した2020年1~4月初旬の動向をうかがいました。今回は、緊急事態宣言が全面解除された5月25日を含む、2020年4~6月のアプリの利用状況をうかがえればと思います。

日影耕造氏(以下、日影) 「App Ape」のデータからは、緊急事態宣言が解除された後も、一部のアプリ利用は一定程度定着していることがわかります。特に顕著なジャンルは(1)ウェブ会議(2)教育(3)コミック・電子書籍(4)フードデリバリーですね。これらのアプリは緊急事態宣言下で利用が急増し、解除後はやや減ったアプリもありますが、それでも以前よりは高い水準を維持しています。

 まずは、ウェブ会議アプリから見ていきましょう。図1は「Zoom」「Skype」「Google Duo」「Microsoft Teams」の2020年3~7月のDAU(Daily Active Users:1日に一度以上、そのアプリを立ち上げたユーザーの数)推移です。「Zoom」が顕著ですが、いずれも緊急事態宣言が出た4月は伸ばしていますね。

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図1

 その後「Zoom」は下がりますが、それでも3月よりは高い水準をキープしています。「Microsoft Teams」は堅調に伸ばしており、7月時点で見ると「Zoom」とほぼ並んでいます。なお、「Microsoft Teams」が顕著ですが、グラフが「M」を重ねたような形で推移していますよね。へこんでいる部分は「土日」になります。

――ビジネス用途だった、と推測できますね。

日影 はい。「Microsoft Teams」に比べて「Zoom」は「M」感が乏しいのは、オンライン飲み会などの非ビジネス的な使われ方も多くされていたからかもしれませんね。なお、この図は「App Ape」のデータであり、スマホやタブレットで「Androidのアプリ」として利用した推移になるため、iPhoneやパソコンの動向は含まれていません。

――自宅ならパソコンを使えばいいのにと思ってしまいますが、案外スマホで使われているんですね。

日影 「Zoom」はスマホアプリの使い勝手がよく、音声なども聞き取りやすいんです。私も仕事の会議でスマホの「Zoom」を利用したことがありますし、会議の参加者がスマホを利用していることもけっこうあります。試しに使ってみて、思った以上に使い勝手が良かったことが、利用者の急増につながったのではないでしょうか。

 ウィズコロナの新しい生活様式において、アプリを活用したオンラインでのビジネスコミュニケーションが定着してきていることがわかります。対面でなくても事足りると判断した事業者が多い、とも言えますね。

――コロナ以前は「2020年のオリンピックに向けて、リモートワークを進めよう」という取り組みがありましたが、あまり進んでいるようには見えませんでした。しかし、コロナという脅威のもとで一気に進みましたね。

「Google Classroom」の利用が急増

日影 次に、教育系アプリです。これは、学校によって対応に差が出た部分だとは思いますが。図2は「Studyplus」「スタディサプリ」「Google Classroom」「Classi生徒用」のDAU推移です。

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図2

 教育系アプリも4月に伸びて、ピークよりは下がったものの、依然として高い水準をキープしています。「Google Classroom」で顕著ですが、グラフが「M」を重ねたような形になるのは、やはり土日の利用が落ち込むからです。

――いずれも、ウェブ会議アプリと似たような利用動向ですね。

ウーバーイーツと出前館の微妙な違いとは

日影 次は、フードデリバリー系です。図3は「Uber Eats」と「出前館」の推移を表したものです。緊急事態宣言明けの6月に少々落としたものの、以前の水準に戻るわけでもなく、引き続き利用されていることがわかります。「Uber Eats」は一時的な流行と見られがちでしたが、試しに使ってみたユーザーがその後も根付いているのかもしれません。また、7月に感染が再拡大したことで、いずれも利用者が再び増えていますね。

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図3

 なお、「Uber Eats」に比べて「出前館」の伸びが低く見えますが、「Uber Eats」は8割ほどがアプリからの注文なのに対し、「出前館」はウェブとアプリが半々程度です。そのため、トータルで見ると拮抗しているのではないかと思います。

――「出前館」は2000年にサービスインですから、パソコンの方がなじみ深い人も多いでしょうね。

日影 また、「出前館」の場合は基本的に配達するのはお店の方ですが、「Uber Eats」は専業のドライバーの方がいますよね。そのあたりの事情も影響しているのかなと思います。

* * *

 次回は引き続き日影氏に、緊急事態宣言で大幅に利用を伸ばしたコミック・電子書籍アプリの動向について、うかがっていく。
(構成=石徹白未亜/ライター)

石徹白未亜/ライター

石徹白未亜/ライター

ライター。得意分野はネット依存・同人文化(二次創作)・ファッション。ネット依存では自身の体験をもとに書籍『節ネット、はじめました』(CCCメディアハウス)を執筆、NHK『ハートネットTV』、フジテレビ『バイキング』、朝日新聞、週刊文春等メディア出演多数。個人に向けたスタイリストとしても活動しており、著書に男性スーツ本『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。』(CCCメディアハウス)。ユニ・チャーム株式会社でのスーツ着こなしセミナーなど、ファッション研修も多くの実績あり。おうち大好きインドア派。同人誌と串揚げとしめさばとビールで生きてます。
●「主なプロデュース作品
『何になりたいかわからないけど就活を始めるあなたへ まず自己分析をやめるとうまくいく』辻井啓作(高陵社書店)
『自分のイヤなところは直る! 』牧野秀美(東邦出版)
『英語がサクッと口から出る 英語の「筋トレ」4センテンス繰り返しCDドリル 初級編 』渡部泰子(主婦の友社)

Twitter:@zPvDKtu9XhnyIvl

『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』 時間がない! お金がない! 余裕もない!――すべての元凶はネットかもしれません。 amazon_associate_logo.jpg
『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。 会話術を磨く前に知っておきたい、ビジネスマンのスーツ術』 「使えそうにないな」という烙印をおされるのも、「なんだかできそうな奴だ」と好印象を与えられるのも、すべてはスーツ次第! amazon_associate_logo.jpg

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