LINEマンガ&ピッコマ、毎日見てしまう絶妙な仕掛け…Kindleアプリと何が違う?
ダウンロードしたものの、数回使っただけで休眠状態だったり、アンインストールしてしまったりしたアプリがある人も多いはずだ。テレビCMなどでは「数百万ダウンロード突破!」と威勢のいい言葉を聞くが、実際にどんなアプリがどの性年代にどのくらい使われ続けているのか。
本連載では、ダウンロード数だけでは見えない「アプリの利用率」をモニターの利用動向から調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーに、四半期ごとに人気アプリの実態について聞いている。
前編に続き、同社のオウンドメディア「App Ape Lab」編集長の日影耕造氏に2020年第2四半期(4~6月)のアプリ利用動向をうかがう。今回はコミック・電子書籍アプリの動向について。
巣ごもり生活でLINEマンガ&ピッコマが躍進
――前回は、「Zoom」などのウェブ会議アプリ、教育アプリ、フードデリバリーアプリの利用が、緊急事態宣言解除後も高い水準で推移しているとうかがいました。
日影耕造氏(以下、日影) 同様に、コミック・電子書籍アプリも利用を伸ばしています。下図は「Kindle」「LINEマンガ」「ピッコマ」「少年ジャンプ+」のDAU(Daily Active Users:1日に一度以上、そのアプリを立ち上げたユーザーの数)推移です。3月以降、「LINEマンガ」「ピッコマ」が躍進していることがわかります。
――マンガの違法アップロードサイト「漫画村」が閉鎖されたのが2018年4月でした。それを受けてか、いずれも2018年後半から伸び始めていますね。
こうしてみると、「LINEマンガ」「ピッコマ」はコロナ以前から「Kindle」「少年ジャンプ+」を上回っていたんですね。「少年ジャンプ+」は「週刊少年ジャンプ」の連載漫画が読めるというわけではないためわかるのですが、「LINEマンガ」「ピッコマ」の「Kindle」超えはちょっと意外です。
日影 「LINEマンガ」「ピッコマ」はアプリとしての“仕掛け”がうまいんです。1日でここまでは無料で読める、という枠やチケットを用意したり、それをプッシュ通知したりするなど、「ユーザーが毎日訪れるための動機付け」がとても巧みです。コロナがきっかけで巣ごもり生活を送っている人が「LINEマンガ」「ピッコマ」を使い始め、そのまま継続して利用しているのではないかと推測できます。
――この漫画はこのアプリ独占配信、あの往年の名作漫画が読める、というような「コンテンツの力」ももちろん大事なんでしょうけれど、コンテンツそのもの以外の「アプリの機能」を活用し、ユーザーが毎日チェックしてしまう仕組みをつくる、というのは興味深いですね。
日影 ゲームの「ログインボーナス」に近いですよね。なお、「LINEマンガ」「ピッコマ」が飛躍的に伸びているため目立ちにくいのですが、「Kindle」もコロナ禍でDAUを伸ばしています。ただ、「Kindle」はコミックアプリほどデイリーボーナスがあったりするわけではありません。
――「Kindle」もデイリーで商業出版本の割引をしたりしますけど、数冊ですもんね。こうしてみると「Kindle」は紙の本の販売方法を電子に置き換えただけ、とも言えますが、「LINEマンガ」「ピッコマ」はアプリならではの独自性を発揮していると言えますね。
日影 約1カ月半続いた緊急事態宣言での巣ごもり生活により膨大な余暇時間が生まれたことは、コミック・電子書籍アプリの伸びから実感しますね。前編で触れたアプリも含めて、自粛期間中に使い始めたサービスがその後の生活でも定着していることが見えてきます。コロナ禍は長期化することが予想されていますから、この傾向は今後も続いていくでしょう。そして、やがて大きな変化につながっていくと思います。
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次回も引き続き、今年最もダウンロードされたアプリやヒットの条件について、日影氏にうかがう。
(構成=石徹白未亜/ライター)
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