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不動産フリマサイト「FLIE」の利用者急増…数百万円単位の仲介手数料が不要に

文・取材=A4studio
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不動産フリマサイト「FLIE」の利用者急増…数百万円単位の仲介手数料が不要にの画像1FLIE HP」より

 近年、「メルカリ」などのフリマアプリが新たな中古品売買のスタイルとして定着しつつある。スピーディーに取引が行えることや、うまく活用すれば中古品販売店より安価に買い物ができることから利用者が急増している。

 本に特化した「ブクマ」やブランド品に特化した「KANTE(カンテ)」など、特定の品物に特化したフリマアプリが多数登場してきているが、そのなかでも今話題となっているのが、7月26日にオープンした不動産フリマサイト「FLIE(フリエ)」だ。

 不動産仲介業者を挟まずに売主と直接やりとりするため、不動産仲介業者の相場である“物件価格の3%+6万円”の仲介手数料がかからない点が大きな特徴。仮に3,000万円の物件を不動産仲介業者を通して購入するとなると、96万円が手数料として発生するわけだが、それが丸ごと浮くのは、かなりお得ではないだろうか。

 しかし、フリマサイト(アプリ)は便利な半面、品物や金銭にまつわるトラブルも多い。数百~数千円程度の被害であれば“勉強代”ということで諦めもつくかもしれないが、家のような一世一代の買い物となればそうはいかない。たとえ96万円の仲介手数料を上乗せしてでも、安全で確実な取引を行いたいと考える方も多いのではないだろうか。

 そこで今回、FLIEを運営する株式会社マンションマーケットの代表取締役・吉田紘祐氏に、仲介業者を通さないことによる懸念点などを聞いた。

「フリマサイト」と謳ってはいるが、その実は個人対法人での不動産取引

 まず、FLIEはどのようなサイトであり、一般ユーザーはどのようなメリットを得られるのか。

「FLIEは不動産のフリマサイトと謳ってはおりますが、売主側はすべて不動産業者であり、掲載しているのは不動産業者が購入して、リフォームやリノベーションを行った中古物件となっております。従来のフリマサイトのように個人対個人で不動産取引をするのではなく、個人対法人で直接不動産取引をするためのサイトというわけです。つまり、個人で家を売りたいという方が、直接FLIEに出品して売ることができるというわけではないのです。

 物件購入希望者側の一番のメリットは、やはり仲介手数料が不要になるということでしょう。ほかには売主と直接やり取りするかたちになるため、交渉などがスピーディーに行えることや、より詳細な物件情報を得られることなどが挙げられます。

 現時点(8月21日時点)でサイトオープンから1カ月弱ですが、物件の内覧までしていただいており、具体的に購入を検討されているお客様もいらっしゃいます。また、不動産業者からも問い合わせの連絡は多数頂いております」(吉田氏)

「宅地建物取引業法」がある以上、購入希望者が騙されるリスクは少ない

 ここからはFLIEの懸念点について聞いていきたい。

 一般的なフリマサイトやオークションサイトでよくあるトラブルといえば、商品の不具合や金銭授受にまつわるものだ。物件の品質や金銭授受の安全性はどれだけ担保されているのだろうか。

「先ほど申し上げた通り、FLIEの売主は法人であり、健全で公正な不動産取引を保証する『宅地建物取引業法(宅建業法)』に則って業務を行う義務があります。万が一、宅建業法を守らなかった場合、宅地建物取引業免許を剥奪され、営業停止となってしまうため、業者はこれを遵守している前提でお話しさせていただきます。

 まずは物件に不具合やトラブル、いわゆる瑕疵(かし)があった場合についてですが、不動産業者には宅建業法の40条に基づき、最低2年間は物件の瑕疵に関する担保責任を負う義務があります。そのため、万が一物件に瑕疵があった場合、期間内であれば買主は契約解除や損害賠償の請求を行うことができます。また、それに加えて5年や10年の保証をアフターサービスとして独自に行っている業者も多くあります。この点に関しては、新築分譲物件を購入する際とほとんど変わらないとお考えください。

 また、不動産取引の場合、司法書士立ち合いのもとで売買料金の移動の確認、そして同時に登記簿の引き渡しを行う必要があります。ですから代金を支払ったかどうかでトラブルになることはまずないでしょう」(同)

 マイホーム購入後、いざ住みはじめてからご近所トラブルや環境問題などに悩まされるケースもよく耳にする。FLIEでは物件の相隣関係や、周辺環境の調査などはどうなっているか。

「宅建業法の35条では、『売主は買主に対して物件の重要事項を書面で説明しないといけない』と定められております。ここでいう重要事項というのは、『購入の意思決定に影響するだけの情報』のこと。当然、相隣関係や周辺環境なども含まれているため、不動産会社が法律に則って調査を行い、書類というかたちで交付されます。

 また、37条では『契約締結後、支払い方法や引き渡し日など契約内容を記載した書類を交付しないといけない』と定められています。重要事項や契約内容などはすべて書類に記載されたかたちで交付されるため、不都合な部分を隠したり、偽ることはできません。

 不動産仲介業者を通しても通さなくても、不動産業者が宅建業法に則ったかたちで業務を行っている点は変わりません。つまるところ、安全性に関してほとんど違いはないということです」(同)

 要するにユーザー自身が、取引をする不動産業者が信頼に値するかどうか、最低限の見極める目を持っていれば問題ないということか。

購入希望者からすれば、新築分譲物件を購入するのと同じような感覚

 では不当に高額な物件が販売されていないかなど、価格の審査は行っているのだろうか。

「結論から申し上げますと、物件価格の審査などは行っておりません。ただ、家に限らず、ほとんどすべての商品は特に価格の審査など行われていないと思われます。また、買主は高いと思うなら買わない、または交渉するという手段を選択できますので、この点においても新築分譲物件を購入するのとほとんど変わらないとお考えください。自分のなかに見積もりなどのプランがあるなら、騙されて不当な値段で購入してしまうことはないかと思います」(同)

 ここまでの話をまとめると、不動産業者を見極める最低限の知識や、ある程度の物件相場を把握しておけば、不動産仲介を通さないデメリットはほぼないように思える。では、逆に不動産仲介を通すメリットとはなんだろうか。

「基本的に不動産仲介業者というのは、自分の代理人として物件探しや売主との交渉、スケジュール調整を行ってくれるなど、ときに物件探しの相談に乗ってくれるサービスです。家探しや折衝といった手間をかける余裕がない、または面倒だという方は不動産仲介を通すほうがいいと思います。

 つまり、不動産のフリマサイトを利用する購入方法や購入手続きは、新築分譲物件を購入する感覚とほとんど一緒と考えていいでしょう。自分のなかに譲れないポイントや資金面の計画を持ったうえで、アグレッシブに行動できるなら、お得にご利用いただけると思います。

 ただ、現状は個人対法人で不動産取引するサイトですが、将来的には個人対個人で取引できるプラットフォームの導入も検討しております。その場合、今回ご質問いただいた点がすべて懸念事項となってまいりますので、今後はそれらの問題解決を課題として、サービスのシステムを構築していく予定です」(同)

 フリマサイトである以上、トラブルなどが起こった際、自己責任となる部分も多いのではないかと考えていたが、決してそんなことはないようだ。売主とのやり取りなど手間はかかってくるが、それを考慮してもお得度や利便性は非常に高いサービスといえるだろう。

 端的にいえば、現時点のサービスは個人対個人でなく個人対法人である分、一般的にイメージするフリマサイトよりも自由度は低いが、その分、安全性は高いということだろう。新たな家探しのかたちとして、徐々に定着していく可能性を秘めたサービスなのではないだろうか。
(文・取材=A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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