日本の高スキルIT技術者不足が深刻…日本でできない開発を海外の個人が1万円で開発
所要時間にして2日間、費用はわずか100ドル
さて、ある土曜日の午後のことでした。私はこのクラウドソーシング会社のウェブサイトに依頼内容と設計書を登録し、エンジニアを募集しました。初めての経験でうまくいくかどうわかりませんでしたから、最初は全体のごく一部分だけを依頼することにしました。似たようなプログラムをつくった経験のある人なら4~8時間でできるはずと見積もったので、値段は試しに100ドルで出してみました。日本ではありえない値段ですが、過去の受注案件をチェックするとこの金額レベルの実績は無数にありました。4時間働いて時給2500円、8時間かかったとしても時給1250円になりますから、悪くない仕事だと考える人もいるはずだという想定です。
募集開始ボタンを押した後、ひと休みしようとコーヒーを淹れてデスクに戻ると、早くもインドのエンジニアが1人手を挙げてくれました。彼の問い合わせに返事を書き、送信ボタンを押すと、その間に追加でパキスタン人やフィリピン人など4人が手を挙げていました。彼らのプロフィールと過去の実績に目を通しているうちに、さらに追加の応募が5件来ました。これでは応募の処理だけで忙殺されてしまうと焦った私は、似たようなプログラムをつくった経験があるので1日で仕上げることができるというカタール人に仕事を発注することにしました。ここまでわずか30分のことです。
このクラウドサービスの会社は、クレジットカード一枚で契約を結ぶことができます。仕事を発注するとクレジットカード番号の入力を求められ、発注金額、この場合では100ドルと数パーセントの手数料が私のカードから引き落とされます。この金額はクラウドサービス会社が預かり、仕事が完了すればエンジニアの口座に振り込まれ、完了しなければ依頼者の口座に払い戻されるという仕組みになっています。ちなみに、これはエスクローサービスと呼ばれます。
翌日の日曜日、私は所用で一日中出かけていました。夕方に帰宅してPCを開くと、カタールのエンジニアから完成したとの連絡が入っています。サイトをチェックしてみると、確かに要求仕様通りのプログラムが本当に完成していたのです。きちんと時間を取ってチェックするために当日の完了確認は保留して、翌日、月曜日の午前中に私が管理するサーバにインストールしてもらったプログラムを確認し、クラウドサービスのサイトで完了ボタンを押して仕事は無事完了です。所要時間にして2日間、そのうち私が使った時間は3時間程度でした。