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旧Twitter、同じWi-Fi使うと「おすすめユーザ」表示か…職場バレも

文=Business Journal編集部、協力=山口健太/ITジャーナリスト
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SNS「X(旧Twitter)」より

 SNSのX(旧Twitter)で、同じWi-Fiを使用したユーザーに自分のアカウントが「おすすめユーザ」として表示される仕様になっているのではないかという情報に警戒が広まっている。会社や自宅で自身の「裏アカ」にログインしてXを利用すると身バレしてしまう可能性もあるとして、SNS上では「怖い怖い」「色々とあり過ぎていつバレるかヒヤヒヤしてる」といった声が続出しているが、実際にこのような仕様になっているのか、そして、この仕様をオフにする方法はないのかを、識者の見解を交え追ってみたい。

 昨年10月に米テスラCEOのイーロン・マスクに440億ドル(約6兆6000億円)で買収されて以降、Xでは仕様変更が相次いでいる。買収直後には「言論の自由の確保」を理由に投稿削除やアカウント停止に関する規則が緩和され、凍結されていた著名人のものを含む数多くのアカウントが復活。月額8ドル(980円)で広告表示が減る有料サービス「X Premium(プレミアム)」を開始し、10月には「X Basic(ベーシック)」(月額3ドル<368円>)、「X プレミアムプラス」(月額16ドル<1960円>)が追加。全プランで投稿の編集、長文投稿、長尺動画、リプライでの優先表示、コミュニティノート作成なども可能となっている。

 このほか、4月にはクリエイターがフォロワーから収益を得られるサブスクリプションを開始。すでに音声通話やビデオ通話機能が追加され、企業アカウントには求人情報を掲載できるようになり、ユーザー同士による送金機能の実装の計画も発表されている。

 相次ぐ新機能・サービス開始の一方、経営的な混乱もクロースアップされている。昨年11月、従業員約7500人のうち約半分を解雇し、今年7月には突如、社名とサービス名を「X」に変更。一日あたりの閲覧回数に一時的な制限を設けたことで、日本では公的機関によるXを使った情報発信に支障が生じるという事態も起きていた。

「混乱ばかりが注目されるが、もともと旧Twitterは赤字が定着して経営的にはうまくいっていなかったので、買収したマスク氏が黒字化を目指してリストラや機能刷新を矢継ぎ早に行うのは当たり前。マスク氏は来年にはXを本格的な交流サイトにすると言っているとも報じられており、決済などの金融サービス機能やコミュニケーションツールとしての機能、情報発信機能の強化でスーパーアプリ化を急いでいる。そのスピードがあまりに早すぎて、社内や利用者に戸惑いが生じているのだろうが、積みあがった債務の解消が急務を要し、早期の黒字体質への転換のためにはやむを得ない」(中堅IT企業役員)

「個人情報の推測に基づくカスタマイズについて」が影響か

 そんなXをめぐって今、関心が寄せられているのが前述の「おすすめユーザ」機能の仕様だ。裏アカなどの使用が「家族バレ」「職場バレ」してしまうとして、SNS上では以下のような声が続出している。

<会社のWi-Fi使ってるから詰むやん>

<端末そのものが1回でも使った事あるWi-Fiだと知り合い認定してくるって事だよね?>

<ちょっとまってしぬ>

 この仕様について、Xの利用規約の「個人情報の推測に基づくカスタマイズについて」に定められている以下の内容が影響しているのではないかという指摘もみられる。

「特定のブラウザや端末からXにログインすると、Xは、そのブラウザや端末をXアカウントに登録します。ユーザーがXにログインしているかどうかにかかわらず、パートナーが情報を共有したときや、ユーザーがX.comにアクセスしたとき、Xコンテンツを統合したサードパーティーウェブサイトにアクセスしたとき、X広告主のウェブサイトやモバイルアプリケーションにアクセスしたときなどに、ブラウザや端末に関する情報がXに送られます。Xは主にIPアドレスと情報を受け取った時間データから、特定のブラウザや端末、またはアカウントとの連携を予測します。

 メールアドレスを含むその他の情報をXに提供すると、Xはその情報とアカウントを関連付けます。Xはそうした情報からその他の個人情報を推測する場合があります。たとえば、Xに提供されたメールアドレスと共通の要素が使われているメールアドレスのハッシュを、アカウントと関連付けます」(Xヘルプセンターより引用)

仕様を回避する方法はあるのか

 ITジャーナリストの山口健太氏はいう。

「おすすめに表示するアカウントを決める仕組みとして『同じWi-Fiを利用していること』という条件は含まれていないものの、IPアドレスから得られる大まかな地理情報は考慮されるとのことから、可能性としてはあり得るという印象です。

 実名が基本のFacebookやInstagramとは違い、Xは本名を公開せずに楽しめるのも特徴の1つですが、家族や同僚などにアカウントが知られるとプライベートな趣味や行動が筒抜けになってしまいます。また、自分では注意を払っていたとしても、Xでつながっている同僚のアカウントが会社に見つかることで、芋づる式に自分も見つかるといった可能性があります」

 また、各アカウントの設定ページで「推測される識別情報をもとにカスタマイズ」の機能をオフにすれば、この仕様を回避できるという指摘もみられるが、山口氏はいう。

「対策として、SNS上ではアプリの 『設定とプライバシー』→『プライバシーと安全』→『推測される識別情報』→『推測される識別情報をもとにカスタマイズ』をオフにするという方法が出回っていますが、おすすめ表示との関係についての説明はなく、どれくらいの効果があるかは不明です。おすすめ表示に利用される他の要素としては、Xにアップロードされた連絡先も利用されます。この機能は『設定とプライバシー』→『プライバシーと安全』→『見つけやすさと連絡先』→『アドレス帳の連絡先を同期』からオフにすることができます」

 この仕様はプライバシー保護などの観点から適切といえるのか。

「より詳細なプライバシー設定ができたほうが望ましいと思いますが、Xに投稿した情報はインターネット上に広く公開され、他者とのつながりもあることから、特定の人に見つからないように活動することには限界もあります。アカウントに鍵をかけ、仲間内だけで楽しむのも1つの手でしょう」

(文=Business Journal編集部、協力=山口健太/ITジャーナリスト)

山口健太/ITジャーナリスト

山口健太/ITジャーナリスト

1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。
山口健太

Twitter:@yamaguc_k

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