昨年は「スマート家電」という言葉が一般的になった感がある年だった。洗濯機や冷蔵庫などの家電をスマートフォン(スマホ)を使ってコントロールできるものが主だった。しかし、1月に米ラスベガスで開催された世界最大級の国際家電見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」では、より進化した自動制御のスマート家電を見ることができた。
家電をスマホでリモートコントロールするにしても、スケジュール入力して動作管理するにしても、結局のところは人間がその家電を使用するタイミングを計り、環境に合わせて使用方法を模索することに変わりはない。これに対して、次世代の家電は、センシングやGPSで制御する。
一般的に、外出する際には空調を切り、照明を消したりする。そして、帰宅すると照明をつけ、空調を入れる。しかし、そんな常識が変わりつつあるのだ。
●電子制御の空調
米の電子機器メーカー・Allure Energyの製品であるEverSenseは、スマホに専用アプリをインストールし、それと連携して空調を自動コントロールすることができるデバイスだ。
スマホに搭載されている位置情報を測定するシステム・GPS(全地球測位網)を用いることで、アプリをインストールしたスマホを持ったユーザーが家から一定距離まで離れると自動的に空調を消し、逆に近づくと空調が働きだすように制御する。ユーザーが常に快適に過ごせ、しかも省エネになるように動作する。このようにユーザーの位置をGPSで検知して、特に操作をしなくても自動的に動作する仮想の境界線をジオフェンスという。
電源のオン・オフだけではなく、センサーユニット・Auraを併せて用いることで、さらに細かい空調制御を付加できる。このAuraは、近距離無線通信(非接触通信)技術であるNFCとiBeaconの2つを搭載し、NFCはAndroid対応スマホと、iBeaconはiPhoneと連動して、スマホを保持した人がいる部屋は最適な空調となるようにコントロールし、人のいない部屋の空調を消したりする。