“女子アナの登竜門”と呼ばれている慶應義塾大学の「ミス慶應コンテスト」が、またもや物議を醸している。「週刊文春」(文藝春秋)がファイナリストの“セクハラ被害”を報じ、真相をめぐって大騒動に発展しているのだ。
騒動の渦中にいるのは「ミス慶應コンテスト2019」のファイナリストで文学部1年生の濱松明日香さん。記事では、ミス慶應コンテスト運営委員会のプロデューサー・A氏によるセクハラ行為を濱松さんの友人B子さんが告発している。濱松さんが被害に遭ったのは深夜の都内のクラブで、濱松さんがB子さんに送った「めっちゃチューしてくるこの人」「めっちゃお尻さすってくるww」とのLINE画像も公開されている。
また、同誌の取材に濱松さん本人も「何度も拒んだのですが、顔を背けた瞬間に頬にキスされました。本当に気持ちが悪かったです」などと証言している。さらに、濱松さんはA氏から「濱松はミスコンを盛り上げてくれている」として20万円を渡されそうになったという。
一連の証言について、A氏はセクハラ行為を否定し、20万円については「ギャラで振り込むというのはありますけど」「ギャラ以外ではないですね」と答えている。また、A氏は「この件は、事実を曲げられたというか、非常に悪意のある人物の仕業だなと思っています」とコメント。一方、濱松さんは文春宛ての書面で「セクハラ行為は受けておりません」と記していたものの、文春側が濱松さんに再確認したところ、「実は無理やり書かされました」と答えたという。
ちなみに、A氏は慶大の学生ではなく、有名企業勤務を経て2007年に経営コンサルティングやPR動画制作などを請け負う会社を創業した40歳の会社経営者である点も、衝撃を広げている。
今回の報道に、ネット上では「いい歳して将来のある若い女性を食い物にするなんて、何考えてるの?」「ミスコン参加者は汚い大人の権力や圧力に負けないでほしい」といった反応が続出した。また、「不祥事だらけの慶應ミスコンがなぜ継続しているのか不思議で仕方がない」「慶應ならあり得るって思えるくらい、慶應ブランドは地に落ちた印象」といった声も相次いでいる。
多くの人から「また慶應ミスコンか」という声が上がるように、ミス慶應コンテストといえば不祥事が相次いだことでも知られている。09年には、主催団体の広告学研究会(広研)に所属する男子学生数人が東急東横線日吉駅内を全裸で疾走する騒ぎがあった。男子学生は公然わいせつの疑いで書類送検され、10年のミス慶應コンテストは中止となった。
さらに、世間を騒がせることになったのが、16年に起きた広研メンバーによる集団強姦事件だ。当時の報道によると、男子学生が「海の家」の片付けを手伝ってほしいと女子学生を呼び出し、作業後に合宿施設に移動したところで女子学生は飲酒を強要され、複数の男子学生から暴行を受けたという。女子学生は被害届を提出し、加担した学生のうち3名は無期停学処分となり、ミスコンは中止に追い込まれている。また、この事件を機に広研は大学から解散を命じられた。
これらの経緯もあり、ネット上には「慶應=性犯罪のイメージになりつつある」「結局は容姿に順番をつけるという性質上、セクハラの温床になっていそう」「ミスコンそのものが時代遅れのセクハラ的見世物」「もう廃止すべきでは」といった意見も見られる。ジャーナリストの中野円佳氏は「Yahoo!ニュース」の「オーサーコメント」で「悪いのは加害者。でももう大学はミスコン開催自体を禁止したらいいと思います」と言及している。
今回の文春の報道を受けて、ミス慶應コンテスト2019の公式ツイッターは「公開された記事に関しては大幅に事実と異なる内容です。運営が濱松本人から直接報告を受けている事実と大きく相違があり、濱松本人の証言の記録もございます」と反論。一方、濱松さんはツイッターで改めて「セクハラに関する出来事は全て事実です」と訴えており、「ファイナリストを降りる気もありませんしこれからも活動に励んでいくつもりです」と宣言している。
元フジテレビの中野美奈子や元TBSの青木裕子などの人気アナウンサーを多く輩出してきたことから“女子アナの登竜門”とも呼ばれるミス慶應コンテストだが、またもや危機に直面している。
(文=編集部)