通常、手続きとしてはモラハラが行われた事実確認を行うことになりますが、聞き取りにせよ質問状形式にせよ、事実関係を照らし合わせるために被害を訴える方との連絡は必須です。相手がどれほど多忙な人物でも事実確認は2カ月間もあればできるでしょう。いずれにせよ、被害者側になんの連絡もとらないで調査ができるのか疑問です」(前出のカウンセラー)
嫌がらせをなかったことにするのか
今回の件に関して、関西大学は30日、次のような見解をホームページ上に公開した。
「本年4月以降、織田信成さんに関係して、指導方法をめぐって同部内で意見の相違があったことは認識しています。その後、織田信成さんからは、本年7月1日に学長に対して所属事務所、弁護士が同席のもと、指導方法等に関する強い要望がありました。そこで、織田信成さんのご意見もお伺いし、その内容に基づき、時間をかけて複数の関係者に対してヒアリングを行ってまいりましたが、総合的にみてその要望を受け入れることは妥当ではないと判断しました。
織田信成さんのご体調も考慮しつつ、こうした結果を織田信成さんにお伝えすべく、慎重に準備を進めておりましたところ、先に織田信成さんから辞任のお申し出があり、やむなく本学として了承することとなりました。なお、9月9日の退任の報道にあたっては所属事務所と十分に協議の上、発表しておりますことを申し添えます」
関学の見解について、織田氏が所属するアスリート・タレント事務所トラロックエンターテイメントに問い合わせた。織田氏の担当者は次のように不快感を示す。
「まず、退任の発表内容に関して大学と協議したのは事実ですが、当初のプレスリリースには『多忙』という文言は入っていませんでした。その後、マスコミ各社が退任の理由に関して個別に問い合わせた際、関大側が口頭で『多忙』という説明をしたようです。
関大の発表にはモラハラや嫌がらせに関する記載は一切ありません。弁護士と同席で嫌がらせやモラハラに関して大学側に対応を求めたのは事実です。それを無かったことにするのでしょうか。論点のずれを感じますし、大学側の誠意を感じません。当人と話し合ったうえで、今後の対応を決めたいと思います」
織田氏はブログでこうも語っている。
「どんな状況でもスケートを教える事がすごく楽しかったので、自分がもっと強くいられればきっとこんな風にはならなかったのだと反省しています。人前で笑う事が辛く感じる時期もありましたが、今は家族との時間を多く取り、他のお仕事をする事で精神的にも安定してきました」
織田氏は男子ファイギアスケートを盛り立ててきた日本の大切な功労者の一人だ。その功労者がこんな告発をしなければならないというのは異常事態だ。大学は調査の詳細と事実関係を明らかにする必要があるのではないか。
(文=編集部)