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立教大学、見過ごせない“財務面での懸念材料”

文=島野清志/評論家
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立教大学池袋キャンパス(「wikipedia」より/ペン太)

 長い歴史があり、世評の高い大学の共通項は、実社会の幅広い分野で出身者が活躍していることだろう。MARCH(明治・青山学院立教・中央・法政)と呼称される首都圏の一流私大各校は、当然のごとく数多くの有名人を育み、各方面に送り出している。

 立教と聞いてある世代以上がまず想起するのは、ミスタージャイアンツこと長嶋茂雄元巨人軍監督ではないか。現役選手の頃に某デパートでお見掛けしたが、スターの中のスターだけが放つオーラであろうか、その周辺だけが輝いて見えた記憶はある。

 ミッション系大学の代表格らしく、女子学生の比率が高いのも同校の特徴である。5大学のうち在籍する女子学生の比率(学部学生基準)が5割を超えるのは立教と青山学院の2校だが、青山学院が50.4%とほぼイーブンであるのに対して、立教は54.3%になる。少子化進行、定着の下で女子受験生の支持が高いことは、運営面で得難い支援要因になることは間違いない。

 なぜなら、首都圏・関西圏の上位私大の女子学生数はこの10年で2万人あまり増加している。成績上位層の女子受験生の共学志向がはっきりと表れているわけで、特に華麗なOG人脈を持つ同校に、学習意欲の高い女子受験生が集まることにつながりやすい。実際、立教の合格者数ランキングの上位には例年、浦和一女、鷗友学園女子、豊島岡女子などの有名進学校が並んでいる。

 同校のイメージを端的に表すのならば、中庸、穏健、バランスの良さであろうか。硬軟いずれにも偏らず、ミッション系の良い意味のノーブルさを備えている。総じて言えば高いブランド力を持つ、極めて安定した大学と映る。

攻めの投資

 しかし、別の角度から見ると、その印象を覆すようなアキレス腱が浮かび上がってくる。運営上の要になる財務内容が、ライバルと目される各校に比べて振るわないのだ。MARCH各校の2019年3月期決算から、貸借対照表分析の基本になる3つの指標を算出してみよう。

【流動比率(高いほうが望ましい)】

・法政244.5%

・明治174.9%

・中央152.8%

・青山学院127.1%

・立教75.4%

【固定比率(低い方が望ましい)】

・法政102.4%

・中央104.2%

・青山学院106.7%

・明治112.5%

・立教125.3%

【固定長期適合率(低い方が望ましい)】

・法政92.9%

・明治93.8%

・中央95.8%

・青山学院98.0%

・立教101.4%

島野清志/経済評論家

島野清志/経済評論家

1960年生まれ、東京都出身。経済評論家。早稲田大学社会科学部中退後、公社債新聞記者、一吉証券(現いちよし証券)経済研究所を経て92年に独立。以降、教育をはじめ、経済、株式などについての著述、評論活動をおこなう。93年から続く『危ない大学・消える大学』シリーズのほか、『この会社が危ない』『この会社が勝つ』『就職でトクする大学・損する大学ランキング』各シリーズ(共にエール出版社)など著書は100冊を超える。

Twitter:@simanokiyosi

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