これまで六代目山口組では、毎月5日に神戸市灘区にある六代目山口組総本部で定例会を開催してきた。だが現在、当局より総本部は使用制限をかけられているために、同所では会合をすることはおろか、組織運営のための業務を行うことも禁じられている。そのため当面は、地域ごとに編成されたブロックごとに、各組織の通達などを主としたブロック会が開催されていくのではないかとみられていた。
しかし、実際は違ったようだ。11月5日になると、六代目山口組最高幹部が名古屋にある関連施設に集結。最高幹部らによる執行部会が開かれたというのだ。
「会合は秘密裏に開かれたようで、会合場所の警戒にあたる警察官や報道関係者の姿もほとんど見当たりませんでした。通常なら、執行部会に司忍六代目山口組組長が出席することはありません。でも今回の会合には、司組長の姿もあったようです。総本部で行われてきた定例会に近い意味合いがあったのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
そのほかにも同会合には、直参に昇格したという噂が出ていた2人の親分衆が出席したという情報も流れた。これについて、前出のジャーナリストはこう話す。
「この2人は、直参に昇格した挨拶に訪れていたのではないでしょうか。新しく昇格を果たしたのは、武闘派として知られ、大阪に本拠地を置く二代目兼一会・植野雄仁会長と、その動向が業界内でも注目されていた、岡山を拠点とする三代目杉本組・山田一組長です」
山田組長の去就に関心が集まっていたのには理由があった。もともと山田組長率いる三代目杉本組は六代目山口組分裂時、神戸山口組の有力組織に所属していたのだが、その後、六代目山口組系二次団体に移籍。さらに、神戸山口組の別組織へと移籍し、現在に至っているとみられていた。ある関係者は、このように話す。
「確かに三代目杉本組は、神戸山口組二次団体である池田組に移籍していた。しかし、最近になって山田組長の六代目山口組直参昇格の噂が広まった際には、六代目サイドでは、三代目杉本組は鳥取県に本拠地を置く大同会(六代目山口組の二次団体)の預かりになったのではないかという認識を持つ者が多かった。だが一方の神戸サイドでは、三代目杉本組は池田組に在籍しているままだとする声もあったため、必然的にその去就に関心が集まっていた」
結果、5日の執行部会に山田組長が姿を見せたことで、神戸山口組系から六代目山口組に移籍していたことが確定的になったのだ。
「山田組長の姿勢がなかなか明確に伝わってこなかったので、両陣営に認識の違いが生まれたのではないか。どちらにしても、髙山清司六代目山口組若頭出所後、初の電撃移籍といえるだろう」(捜査関係者)
一方で翌6日には、六代目山口組の関東ブロックで、ブロック会議が開催されている。
「ブロック会は原則、その地域に所属している二次団体の親分衆が集まるものです。しかし、今回の関東ブロック会議には、同ブロックに属しない最高幹部の姿があったようです。今後も各ブロック会には、別ブロックの最高幹部も出席するのではないかとみられています。この試みは、総本部で一堂に会する定例会を実施できないために、別ブロックの最高幹部が出席することで、組織の活性化や団結を図るためのものではないでしょうか」(報道関係者)
髙山若頭出所後、矢継ぎ早に組織改革が行われ続ける六代目山口組。対して神戸山口組、そして任侠山口組は、どのような組織運営を行っていくのか。今後も六代目山口組では、警察当局からのプレッシャーに対する組織防衛を施しながら、時代の変化に順応できるような組織運営にすべく、さまざまな対応が取られる可能性が高い。
(文=沖田臥竜/作家)