報道圧力を続ける安倍晋三政権と、それに屈するメディアに業を煮やした視聴者の直接行動が徐々に広まっている。
政権にべったりのNHKに対する視聴者の直接抗議行動は、昨年8月に始まり年末までに4回行われた。これに引き続いて、『NEWS23』(TBS系)のアンカー・岸井成格氏降板を批判する動きが昨年9月からインターネット上で起きているが、実際にTBS放送センター前の街頭で直接アピールする行動が1月17日の朝にあった。
日曜日の朝9時30分、東京赤坂のTBS放送センター近くに十数名の市民が集まり、「岸井さん応援しています」「表現と言論の自由を」「岸井さん元気出して!」「報道弾圧許さない」「岸井さん続投して!!」などというプラカードを一斉に掲げた。
抗議行動2日前の1月15日、TBSでは岸井氏が3月で『NEWS23』を降板し、“スペシャルコメンテーター”なるものに就任することが発表されていた。
政府と自民党の“広報機関化”しているNHKに対しては抗議がメインであるのに比べ、TBSへの働きかけは、批判もあるが激励と応援が強かったのが特徴的だ。
リレートーク終了後は、「岸井成格さん『NEWS23』キャスター降板を許さない市民有志一同」が作成した、TBSの井上弘会長、武田信二社長、津村昭夫取締役(編成局担当)、伊佐野英樹・編成局長宛ての「要請文」を渡すため受付に向かったが、警備員らに阻止されて渡すことができなかった。
今回の行動は、「ザ草の根街頭アピール」と称してさまざまな問題を市民個人が街頭で訴える活動をしている西尾典晃氏らが急遽実行したもの。これまでの街頭行動で知り合った人や、インターネットを通して今回の行動を知った人が集まったという。
呼びかけ人の西尾氏は次のように語る。
「『報道ステーション』(テレビ朝日)の古舘伊知郎氏の降板、『クローズアップ現代』(NHK)の国谷裕子氏の降板検討に続いて、岸井氏の降板です。スペシャルコメンテーターという役割を新たにつくったとはいっても、『NEWS23』のアンカー降板という事実に違いありません。
自民党はBPO(放送倫理・番組向上機構)にもクレームをつけるなど、言論統制を強めています。こうしたことに市民が直接抗議することが必要だと考え、行動を呼びかけたのです」