「政治家こそ放送法の精神を守れ!」
岸井氏が圧力をかけられたきっかけは、昨年9月の安保関連法の強行採決直後、「メディアとしても(安保関連法の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と発言したこと。
これに対して、安倍政権を応援する識者らが11月14日に産経新聞、15日に読売新聞に意見広告を出した。その内容は、「岸井氏の発言は、この放送法第四条の規定に対する重大な違法行為」であるとして個人攻撃をするものであった。
放送法第4条には、「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」と規定されている。
しかし、意見広告は「権力に批判的な報道が違法」といった主張であり、安倍政権の“意見”と同じだ。
TBSへの抗議行動の現場にいち早く駆けつけた男性は、このように言う。
「私たちはメディアを通して主要な情報を得ています。安倍政権が圧力をかけて報道を弾圧し、メディアが委縮したら本当のことを知らされない状態になってしまいます。これは本当に怖いことです」
西尾氏と共に今回の行動を呼びかけた長岩均氏は、「(11月に掲載された)意見広告は個人攻撃です。放送法は、戦前戦中の反省から放送の自由のためにできたはずです。メディアやコメンテーターより、政治家こそ放送法を遵守すべきだ」と指摘した。
まったくの正論であり、政府や与党政治家こそが法を守るべきなのだ。千葉からやってきた20代の男性は、「故筑紫哲也さんがキャスターをしていた頃から、『NEWS23』は置き去りにされた沖縄の視点を忘れずに真摯に報道していた。今でもその精神が受け継がれているはず。がんばってほしい」とエールを送る。
TBSは門前払い
リレートークを終えた人たちは、TBS放送センター受付に向かって要請文を持って進んだが、正面入り口で複数の警備員らに阻まれた。
「受付に渡すので後日、担当者に伝えてください」
「受け取れません」
「受付に渡すだけでもお願いします。それをTBSさんがどう判断するかはそちらの話」
「アポイントがないと受け取れません」
この繰り返しで埒(らち)が明かず、代表者が要請文全文を読み上げて退散した。日曜日で担当者が不在だったかもしれないが、一応は受付で預かり、どうするかは後に社が判断する、という姿勢で臨むべきだったのではないか。何しろ要請書の締めくくりは、「共に頑張りましょう」と呼びかけるものなのだから。