寺内容疑者は2014年3月10日、朝霞市の路上で当時中学1年生の少女を連れ去り、約2年にわたって自宅に監禁していた疑い。少女は今年3月27日に隙を見て自力で逃げ出し、警察に保護された。一方、寺内容疑者は逃走して自殺を図ったとみられるが、28日未明に身柄を確保された。
報道によれば、寺内容疑者は千葉大学やアメリカの航空学校に通い、今年4月からは内定を得ていた会社に就職予定だったことなどが明らかにされた。そんななか、寺内容疑者の知人の証言として、高校当時の寺内容疑者が人気アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』に熱中し、鞄に同アニメのキーホルダーを付けていたことなどがテレビなどで大きく報じられた。これに対しインターネット上ではアニメファンのコメントとして、
「高校生がアニメを見るって普通じゃない?」
「アニメオタクが犯罪を起こすって印象操作にウンザリ」
などと不快感を示すものが多数みられる。
「オタクと犯罪の関連性が注目されるようになったのは、1988~89年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で逮捕された宮崎勤死刑囚にオタク嗜好があったことがきっかけでしょう。04年の奈良小1女児殺害事件の小林薫死刑囚も成人向けアニメを見ていたと報じられたほか、フィギュア(人形)オタクではないかとのデマまで流れた。今ではそんな風潮はすっかりなくなりましたが、オタクはかつて“根暗”なイメージとされ、犯罪者と結びつけやすい面があったのは確かです」(マスコミ関係者)
最近でも、14年に岡山県倉敷市で小学5年生の女児を誘拐・監禁した藤原武容疑者が逮捕された際、自宅の部屋中に美少女アニメのポスターが貼られていたと報道。これに対し、経済評論家・佐藤治彦氏は当時Twitterで「こういう単純な図式で犯人を語るのはもう辞めた方がいい」「アニオタ=怪しい、犯罪予備軍みたいな印象を作ろうとしてませんか?」と、苦言を呈した。
日本が誇る文化にネガティブな印象
このような「偏見報道」について、アニメファンの20代会社員女性は次のように呆れる。
「オタクが罪を犯したのではなく、犯罪者がアニメも見ていたというだけではないかと思います。そもそも今ではさまざまな分野でアニメや漫画が原作として使われたりコラボレーションしていたりと、もう特殊嗜好ではなく世間に広く認められた文化になっているのに、犯罪が起きた時だけ特殊扱いされることに疑問を感じずにはいられません。結局、マスコミは『アニメオタクが』といった見出しをつけて注目を集めたいだけではないでしょうか。そんなことで日本が誇る文化にネガティブな印象を植えつけるなんて、馬鹿げていると思います」
マスコミは世間の声を受け止め、誤解を招くような報道の仕方を改めなければ、信用を失う一方かもしれない。
(文=編集部)