4月18日付「文春オンライン」記事は、エイベックス代表取締役会長の松浦勝人氏が常習的に大麻を使用している疑いがあると報じた。記事内では松浦氏と一緒に薬物を使用したという同社元社員の証言や、証拠とされる音声データ、松浦氏と元社員のLINEのやりとりなどが紹介されている。
「松浦氏の薬物疑惑については過去に何度も報じられてきたこともあり、それほど驚きではありませんが、業界的には“歌姫”の話が出てきたことのほうに興味がいっています。記事内で公開された音声で松浦氏は、その有名女性歌手について『ヤンキーだよ。●●やってるし』と語り、さらにその歌手の自宅にいた際に『出てって』と言われたという体験談を明かしています」(テレビ局関係者)
エイベックス所属のタレントといえば、昨年に合成麻薬所持で逮捕された沢尻エリカをはじめ、09年に保護責任者遺棄致死罪と麻薬取締法違反で逮捕された押尾学、同年に急性薬物中毒で倒れ病院に緊急搬送された華原朋美など、薬物がらみのトラブルが目立つ。特に沢尻は12年に「週刊文春」(文藝春秋)で、周囲に「(松浦氏と)一緒に“ハーブ”を吸った」と語っているという証言も報じられていたが、週刊誌記者は語る。
「松浦氏が常習的に所属タレントたちと薬物を使用していたのかどうかは、わかりませんが、松浦氏は芸能事務所トップのなかでも特に、所属タレントらと個人的にも深い関係を持ちコミットしながら信頼関係を育んでいくタイプ。ゆえに、そうした噂が出てしまうという面もあるでしょう。
ちなみに私の知る限り、おそらく“歌姫”と沢尻は公私ともに深い付き合いはないはず。もし歌姫が薬物を使用していたとしても、沢尻とはまったく別のルートや人脈でやっていたと考えられ、警察が沢尻への取り調べなどで歌姫の件について情報を得ている可能性は低いでしょう」
エイベックスは警察と関係の深い企業
ここで気になってくるのが警察の動きだが、警察OBは語る。
「警察が薬物がらみでホシを挙げる際の最大の関心事は、その入手ルートと元締めがどうなっているのかという点。当然、沢尻への取り調べでも薬物の入手ルートや業界関係者の薬物人脈、さらには薬物の噂が絶えない松浦氏をはじめとするエイベックス幹部のことも聞いているでしょう。
『文春』記事では証言者である元社員が証拠だと主張する、松浦氏の音声やLINEのやりとりなどが出ているわけですが、麻薬取締法違反は原則としては現行犯でしか逮捕することができない。もし仮に松浦氏と歌姫がクロであったとしても、松浦氏が『文春』の取材を受けた後にブツを処分したり使用をやめていれば、証拠も出てこないし、検査でも陰性になる。
さらに、この元社員も薬物をやっていたと話しているのに加え、元社員は松浦氏に個人的な恨みを持っており、エイベックスとも現在係争中ということなので、物的証拠や自供がなければ、裁判官がどう判断するのかという問題もある。もし逮捕ということになれば、松浦氏は一流の弁護士をそろえてくるでしょうから、こうした事情を考えれば、警察が踏み切るまでには相当なハードルがあると思います」
また、警察に詳しい全国紙記者も語る。
「エイベックスの現取締役には、検察で刑事部長や公安部長を歴任した人物がおり、過去にも警視庁トップである警視総監OBなどを顧問に迎え入れるなど、エイベックスは当局と関係が深い企業として知られています。一所属タレントである沢尻とは違い、松浦氏は同社の会長であり、もし逮捕となれば社会的な重みがまったく違ってきます。さらに、もし東証一部上場企業のトップを逮捕して無罪となれば、警察の大失態となってしまうだけに、確実にクロに持っていける自信がなければ、手を出すのは難しいでしょう」
今後の動きが注目される。
(文=編集部)