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小林麻央の乳がん、「土足で踏み入り執拗に」報じるマスコミは違法行為該当の恐れ

文=編集部
小林麻央の乳がん、「土足で踏み入り執拗に」報じるマスコミは違法行為該当の恐れの画像1小林麻央

 6月9日、歌舞伎俳優の市川海老蔵が記者会見を開き、妻の小林麻央が乳がんを患っていることを公表した。

 会見では、小林の病状が伝えられると同時に、「みなさん、絶対追っかけて来ないで」と過熱する報道に海老蔵が釘を刺す場面も見られた。その後も、海老蔵はブログで「マスコミの方々にはしつこいようですが静かに見守って頂きたいです」「お仕事である事は重々承知しておりますが、人の命に関わることです」「マオ本人の負担になるような撮影はやめてください」と取材の自粛を繰り返し求めている。

 そもそも、一部スポーツ紙が小林の病気について報じたため、自宅周辺にマスコミが殺到、海老蔵が会見を開いたという経緯がある。小林のがんは「比較的深刻」とのことで、今後も治療の過程が報じられることは想像に難くないが、それによってマスコミがプライバシー権の侵害などに抵触する可能性はあるのだろうか。弁護士法人ALG&Associates弁護士の山室裕幸氏は、以下のように語る。

「プライバシー権とは、『私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利』であるところ、個人の病状に関する情報がプライバシーに属することについては裁判所も認めています。

 もっとも、プライバシーに属する情報を公開し、対象となった人物に不快や不安を感じさせた場合であっても、必ずしもプライバシー権の侵害(民法709条)になってしまうわけではありません。

 本人の承諾がある場合や諸般の事情(報道の目的、必要性、態様、対象者の公的性格など)を総合的に考慮し、プライバシーを公開することに正当な理由があると認められる場合などには、プライバシー権の侵害にはならないものと考えられています。

 さて、今回の件については海老蔵さんが会見を開いた上、病状について一定の説明をしているため、会見の際に海老蔵さんが発言した事実はもちろんのこと、発言内容から一般的に推測し得る事実についての報道などをするのであれば、麻央さんによる承諾があると考えられるため、違法との評価を受けることはないと考えます。

 次に、海老蔵さんが会見で語らなかった事実を突き止めた上で、それを報道した場合などについては、海老蔵さんが会見で取材の自粛などを求めていることから考えて、当該報道に麻央さんによる承諾がないことは明らかです。

 また、個人の病状は特に秘密性の高いプライバシー情報であることや、麻央さんの病状について報道などをすることに公益性があるとはいえないことなどから、正当な理由があるとは認められない可能性もあります。

 したがって、海老蔵さんが会見で語った事実を超えるような内容の報道などをしてしまった場合、その内容にもよりますが、麻央さんのプライバシー権を侵害するものとして違法、との判断を下されてしまう可能性があると考えます」(山室氏)

病院に侵入で建造物侵入罪になることも

 また、山室氏は、マスコミが犯す可能性のある「罪」について、以下のように語る。

「まず、プライバシー権の侵害は『罪』には該当しません。つまり、プライバシー権の侵害によって追及される責任は、刑事責任ではなく、あくまでも民事責任にすぎず、被害者からの請求は損害賠償や出版物の差し止めとなります。

 もっとも、取材や報道が過熱していくなかで、マスコミの取材方法などに刑事責任が生じてしまうことはあり得ます。例えば、麻央さんの病状などについての取材をするためにマスコミが病院に立ち入ってしまったような場合には、建造物侵入罪(刑法130条)に問われる可能性があります。

 このように、プライバシー権の侵害によって直接的に『罪』が生じてしまうというよりも、マスコミがプライバシー権の侵害をも厭わないような姿勢で取材活動を行うことに伴って、付随的に『罪』を犯してしまう可能性があるといえます」(同)

海老蔵側の訴えでプライバシー侵害に?

 報道の自由とプライバシー権の侵害の境界線については、たびたび議論されるが、山室氏は「同じ著名人であったとしても、それが公人なのか、あるいは、著名な私人にすぎないのかによって、プライバシー権に関する考え方は大きく変わる」と語る。

「まず、政治家などの公人の場合、有権者である国民が適切な評価を下すための資料という、民主政治に欠かせない社会的に正当な目的が認められるため、私生活上の事項に関する公表であっても、適法なものとして許容される範囲は広く考えられています。

 一方、役者やタレントなどは公人ではなく、あくまでも著名な私人にすぎません。世間に与える影響力が大きいゆえ、一般の人に比べれば私生活上の事項を公表することが許容される範囲が広いとしても、公人に関する情報とは同列に論ずることはできないものと考えられています。

 そのため、著名な私人にすぎない麻央さんの病状に関して、海老蔵さんが会見で語った事実を超えるような内容の報道がなされ、これに対して麻央さん側から訴えが提起されたような場合には、報道の内容次第では、マスコミによるプライバシー侵害が認められる可能性も十分にあると考えます」(同)

 報道の多寡にかかわらず、まずは小林が無事に回復することを祈りたい。
(文=編集部、協力=山室裕幸/弁護士法人ALG&Associates弁護士)

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