「週刊文春」(文藝春秋)の“賭け麻雀”報道を受けて、東京高検の黒川弘務検事長(63)が辞意を表明。22日に閣議で承認された。国会周辺では同日早朝から官僚が慌ただしく出勤し、議員会館周辺の動きも活発化している。立憲民主党、国民民主党などは安倍晋三政権への追及を強める構えだが、そんな中、Twitter上に投稿されたある大物野党議員の投稿が物議をかもしている。立憲民主党の衆議院議員、菅直人元首相(東京18区)その人だ。菅氏は21日、以下のように自身の公式アカウントに投稿した。
#権力は頭から腐る
— 菅直人(Naoto Kan) (@NaotoKan) May 21, 2020
検察法改正問題で渦中の黒川検事長が、コロナ自粛の真っ最中、親しい新聞記者の自宅で賭けマージャン。余りにも常識外れのことで、唖然としている。安倍長期政権のおごりが周辺にも波及しているとしか思えない。権力は頭から腐る。
「#権力は頭から腐る
検察法改正問題で渦中の黒川検事長が、コロナ自粛の真っ最中、親しい新聞記者の自宅で賭けマージャン。余りにも常識外れのことで、唖然としている。安倍長期政権のおごりが周辺にも波及しているとしか思えない。権力は頭から腐る」(原文ママ)
菅元首相は過去に賭け麻雀を告白していた
野党を代表する議員のひとりが、この問題を糾弾するのは不思議なことではない。だが、菅氏の場合は少し状況が異なるようだ。この投稿に対して、「ブーメランではないか」との反論が殺到しているのだ。
実は、菅氏は2014年6月2日発売の麻雀漫画雑誌『近代麻雀』(竹書房)のインタビューで、政界でも有名な麻雀愛好家として紹介されていたのだ。そこで会社員時代に麻雀用の自動計算機を開発し、特許を取得したエピソードと合わせて、以下のように語っていたという。
「少し勝つと『次の選挙資金だね』とか冗談を言われた」
つまり、賭け麻雀を行っていたことをほのめかしていたのだ。菅氏の投稿には、『近代麻雀』での発言を報じた同年6月4日付産経新聞インターネット版の記事『菅元首相、賭け麻雀「告白」 「勝つと“次の選挙資金だね”と」』のスクリーンショット画像が貼り付けられた。
そのうえで、「マージャン点数計算機を作って特許取った、菅直人さん。過去に賭けマージャンもやってた、菅直人さん。国民はあなたに唖然としてます」「ご自身の経験談ですか?腐った感想教えてください」などと批判が殺到している。
「後ろ暗いところがあるから、黒川検事長の処分も軽く」
立憲民主党関係者は憤る。
「また、菅さんですか。なぜご自身のこれまでの経緯を一切考えずに発言をされるのか、正直、理解に苦しみます。菅さんの麻雀好きは政界屈指です。うちの先生は麻雀はやりませんが、菅さんと雀卓を囲んだ議員や秘書、官僚はいると思いますよ。当然、それは新聞、テレビ局の記者も同じです。雀卓を囲んで話をすると『腹の底が見える』などと、一つのコミュニケーションツールとして使っていたようです。
賭け麻雀の話題はある意味、永田町界隈ではタブーだったと思います。今回の件に限って黒川検事長を批判している方たちも、『過去に賭け麻雀をまったくやったことがない』と言い切れる人は少ないのかもしれません。それは自民党内部も同じです。下手に黒川検事長の厳罰を訴えれば、自分の過去にも類が及びかねない。『けしからん』と批判しながらも、『そんなことで』という態度が見え隠れしています。
その結果なのか、政府の黒川検事長の処分は訓告という軽いものでしたし、退職金も数千万円支払われるようです。それぞれに後ろ暗いところがあるので、永田町も霞ヶ関も、そしてマスコミも、この問題を大きくしてほしくないのでしょう」
正統な手続きをとらずに、政治家や官僚に金銭を渡すことは違法性が高い。また国民の税金が原資である官僚や政治家の懐から、特定の誰かに対して金銭を渡すこともあってはならない。政界全体の身の律し方が問われている。