東京都武蔵野市内のセブン-イレブン加盟店が、病気でアルバイトを休んだ女子高校生にペナルティを課していたことが明らかになった。当該高校生の母親がツイッター上で、同店の対応に疑問を投げたことからインターネット上で話題になった。
そこで、当編集部が母親から事情を聞いたところ、次のように説明した。
「娘の1月のバイト代の本来の支給額は2万3375円でしたが、風邪で2日間バイトを休んだら、ペナルティとして時給935円×10時間分として9350円が給料から引かれました。店舗に問い合わせたところ、『休む代わりに働く人を探さなかったらペナルティを課す』『社会人でもバイトでも、同じように対応している』『これが店のルール』という答えでした」
母親がセブン-イレブン・ジャパン本社の相談窓口に電話したところ、「労働者に対して減給の制裁を定める場合、減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が賃金総額の10分の1を超えてはならない」と定めた労働基準法91条(制裁規定の制限)に違反していることを認めたという。
これに対し、弁護士法人ALG&Associates執行役の山岸純弁護士は、バイトを休んだ場合に給料を引く行為自体が違法だと語る。
「労働基準法では『雇用者は、労働者のミスなどについて、違約金(世間でいうところの罰金)を定めてはならない』と規定していますので、勝手に違約金を定めることは違法です。バイトを風邪で休んだことを理由に、『ペナルティ』としてバイト代から天引きすることは、『労働者には給料を全額払わなければならない』と規定する労働基準法24条に違反し、30万円以下の罰金が科せられるほどの犯罪です。しかしながら、実際には罰金までには至らず、労働基準監督署からキツイお叱りがなされる程度です」
セブン-イレブン・ジャパンに、今回の問題についての対応を聞いた。
「法令違反に該当しますので、加盟店に返金を指示いたしました」
同店舗では恒常的に従業員にペナルティを課していたとの話も聞かれるが、過去にさかのぼってすべての従業員に返金させるのだろうか。
「同店舗にて、今回の報道のあった該当従業員さん以外の従業員さんに関しては、現在調査中です」
前出の母親に聞くと、セブン本社および店舗オーナーから謝罪はまだないと語るが、セブン本社として、当該高校生に謝罪する意思はあるのかを尋ねたところ、「この度はお騒がせしており、申し訳ございません。加盟店の認識不足とはいえ、今後、フランチャイズ本部として、加盟店の法令順守を一層徹底してまいります」と答え、当該高校生に対して謝罪するかどうかについては明言を避けた。
昨今、ブラックバイトに関する話題がメディアをにぎわせているが、政府が「働き方の改革」を掲げている今、二度とこのようなことがないように徹底的に改革してもらいたいものだ。
(文=編集部、深笛義也/ライター)