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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

菅内閣発足の裏で森雅子前法相が大ひんしゅく…「最後まで“空気読めないちゃん”だな」

文=神澤志万/国会議員秘書
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森雅子前法務大臣(写真:つのだよしお/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 9月16日、菅義偉内閣が誕生しましたね。麻生太郎副総理兼財務大臣や茂木敏充外務大臣、萩生田光一文部科学大臣など再任が8人もいて、「ほとんど代わり映えしない」と言われていますが、新しくデジタル庁もできる予定だし、目新しいところもあるかなと思っています。読者のみなさまは、どう思われましたか?

 神澤的には、小泉進次郎環境大臣を留任させたことは、かなり予想外でした。15日の時点では小泉大臣の留任はないと予想されていたのに、その日の夜になって、小泉大臣が「職務を引き続きがんばりたい」とコメントしていたので、もしかしたら菅さんと直接話をしているのかなと思ったら、まさかの留任。これには少し驚きました。

 また、平沢勝栄広報本部長の入閣が決まったと聞いたので、警察官僚出身だから国家公安委員長だろうと思っていたら、なんと復興担当大臣。これも意外でした。

 一番ホッとしたのは、サプライズ人事として「三原じゅん子議員の入閣が濃厚」と言われていたので、そうならなかったことです。そこは、実力重視の菅元官房長官らしさを感じました。

 武田良太国家公安委員長の総務大臣就任にも驚きましたが、これから携帯電話料金の引き下げをめぐり、大手通信事業社と喧嘩してもらわないといけないので、妥当かもしれません。さすが菅さん、と思ったりもしました。矢沢永吉ファンで知られる武田大臣は、やんちゃで強引なイメージがありますが、仕事は丁寧だと評判なのです。

恐ろしすぎる徹底した“石破潰し”

 それにしても、今回の自民党総裁選挙では、石破茂元幹事長の国会内での嫌われぶりが改めて浮き彫りになりましたね。永田町では、安倍晋三首相の辞任会見の時点で、すでに「次期総裁は菅さん」というのが規定路線でした。とはいえ、少しは波乱があるかもと期待したのですが、圧倒的な得票数で菅さんが当選しましたね。

 岸田文雄政調会長が予想外に伸びず、「どうしても石破さんを潰したい勢力が議員票を岸田さんに譲るかも」なんて噂が両院議員総会の前夜に飛び交いました。結果、その通りに岸田政調会長が89票で2位になりましたし、報道では「『石破総理』がいかに非現実的かを、党内外に示す。石破氏の政治生命の芽を徹底的に摘んでおくということだ」(9月15日付西日本新聞)とまで言う「自民党関係者」も出てきて、世論操作って本当にできるのかも、と思ったりもしました。

 だって、安倍首相が辞任会見を行った8月28日直後の世論調査では、「次期首相は石破元幹事長」の声が圧倒的に多かったのです。たとえば、日本経済新聞とテレビ東京が実施した緊急世論調査では、トップは石破元幹事長28%、次いで河野太郎防衛大臣の15%、小泉環境相が僅差で3位となったそうです。でも、その1週間後には菅官房長官が人気ナンバー1になっています。

 自民党の役員人事も、9月14日の総裁選の結果が出る前から報道され、その通りになりましたし、16日の国会の首班指名選挙の結果が出る前から閣僚人事は決まってしまうし、なんだかワクワク感が一切なく、決められた通りに粛々と進んでいる感じがしました。

 解散総選挙についても、報道では「任期満了か、それに近い時期」とされていて、「大安の10月25日に投開票説」が有力だったのに、一気にしぼんでいきました。これも、以前から「菅さんが次期総理なら、解散総選挙はしないね」と言われていたので、想定通りです。

 ただ、自民党が行う世論調査がこれからなので、その結果次第では、まだ年内の解散総選挙の可能性は残っています。国会勤務の秘書たちは、選挙期間中は選挙区へ入ります。そのため、家族との調整や子どもの世話の手配などを進めないといけないので、選挙の時期がはっきりするのをモヤモヤしながら待っています。

 しかし、決まってから動いては遅いこともあり、事前にみんなで情報交換しながら準備をします。手配をしても不要になって高いキャンセル料を払ったりで、無駄な出費もかさむんですけどね。また、選挙事務所の賃貸契約も悩むところです。こういうのは、選挙の時期がはっきりしない衆議院の「あるある」なのです。

 しかし、気の早い秘書たちの中には、すでに事務所から私物を引き上げたり、次の事務所を探し始めたりしている人もいます。一昔前では考えられない行動ですが、最近の方たちは、ひとつの職業としてドライに秘書をしているのかもしれませんね。

永田町で森前法相が大ひんしゅくの理由

 内閣総辞職に伴い、前大臣が退任のあいさつ回りをするのが通例となっているのですが、「いくら通例でもタイミングがあるでしょ」とひんしゅくを買っているのが、森雅子法務大臣です。

 衆議院本会議が始まる直前に、衆議院法務委員会理事の議員事務所を回ったのです。各政党とも本会議前には代議士会を行うので、その時間に議員が事務所にいるわけがありません。しかも、本会議開会前の予鈴が鳴っているにも関わらず、森前法相は事務所訪問をやめませんでした。国会女子たちは「この方は、最後まで『空気読めないちゃん』なんだな」と顔を見合わせてしまいました。

 そんな森前大臣に代わって、法相には上川陽子元法相が再び登場です。オウム真理教関係者を含め16人の死刑囚に死刑執行命令をした大臣として知られていますが、今回もバンバン死刑になるのでしょうかね。

 菅政権は安倍政権を引き継ぎ、短命に終わるかもという見方もありますが、菅さんは絶対に短命で終わろうとは思っていないはずです。再入閣の大臣が多いのも、危ない橋を渡らずに安定した政権を目指そうとしているからだと思います。

 総選挙を早期に行わないとみられるのも、すぐに選挙をすれば準備が整っていない野党を打ち負かし、自民党内の基盤が強固になると思いますが、そんな党内事情よりも世論の声を重視しているからだと思います。

 菅さんは、自民党からも国民からも支持される政権を目指して動き出したのだと思います。まぁ、ほぼ中止が決まっている東京オリンピックの後始末など、課題は山積していますよね。いろいろすぐには効果が出なくても、長い目で新首相の今後の活躍を注視していこうと思っています。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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