またしても神戸山口組に衝撃が走った。10月26日夜に、神戸山口組直系組長が何者かに襲われるという事件が発生したのだ。襲われたのは、神戸山口の二次団体である二代目中野組の小嶋恵介組長。昨年来立て続けに起こってきものの、最近は沈静化していたと見られていた神戸山口組直系組長に対する攻撃は、いまだ続いているということなのだろうか。
「幸いにも襲われた小嶋組長は軽傷という話だ。ただ神戸山口組にとっては、またも直参組長が狙われたというだけでも士気にかかわるのではないか。翌日、神戸山口組では会合を開催したと聞くが、六代目山口組との争いにおいては、劣勢状態は続いているといえるだろう」(捜査関係者)
一方、六代目山口組では同じ頃、髙山清司若頭が、日本で唯一「特定危険指定暴力団」(市民の生命・身体に重大な危害を加える恐れがある指定暴力団)として指定されている工藤會の総裁のもとを訪ねている。
現在、工藤會総裁である野村悟被告は、殺人罪などの罪で福岡拘置所に拘束中されているが、先頃、接見禁止が解除され、住吉会の会長をはじめ全国のヤクザ組織のトップらが、同被告のもとへと激励のために面会へと訪れている。そうした中でも、髙山若頭が野村被告のもとを訪れたことは、業界内でも瞬く間に広がり大きな話題となったようだ。その理由を、ヤクザ事情に詳しいジャーナリストが話す。
「六代目山口組分裂後の2015年、工藤會が加盟する九州に本拠地を置く親睦団体、四社会(工藤會・道仁会・太州会・熊本会)は、それまで友好的であった六代目山口組との関係を凍結することを宣言しました。その理由は、道仁会から分裂し、同組織と死闘を繰り広げた浪川会(現・二代目浪川会)にあったとされています。
当時、六代目山口組最高幹部らが道仁会を訪ね、『神戸山口組を結成した者たちを、六代目山口組としては処分している』『渡世の掟に従い、処分者との交流を断絶してほしい』と伝えたとされ、その際に、道仁会サイドは「処分者で結成された組織(神戸山口組)とは、もちろん付き合わない」といった旨を回答したと言われている。だが、そこで双方に行き違いが生じたというのである。
「道仁会の首脳らは、神戸山口組と付き合いはしないことを了承した。一方で、道仁会から処分された者による組織、現・浪川会との関係性について、六代目山口組サイドについて言及したと言われている。というのも、浪川会は六代目山口組と交流があるとされていたからだ。その流れの中で、行き違いが生じ、道仁会サイドが『こちらには(神戸山口組とは交流するなと)要求しつつ、こちらの(浪川会とは交流するなという)言い分は聞いてくれないのなら、六代目山口組との関係は凍結する』としたのだ。そして、その決定は、道仁会が加盟する四社会全体の意向となった。ただ、そこでも両組織が敵対関係にあったかといえばそうではない。あくまで友好的だった関係性を一時凍結させるというものであった」(業界関係者)
それが今回、髙山若頭が野村被告の面会へと足を運んだことで、再び六代目山口組と四社会との交流が再会される可能性があるのではないかと、この関係者は話しているのである。
外交面でも活発な動きを見せる六代目山口組。依然、厳しい局面が続く神戸山口組。現在、そして未来に向けて両組織の状況は対照的とすらいえるのではないだろうか。
(文=山口組問題特別取材班)