絆會(旧名「任侠山口組)きっての武闘派組織として知られ、山口組分裂後の抗争下でも、本拠地である長野県を死守し続けてきた四代目竹内組が、六代目山口組の中核組織・三代目弘道会へと移籍するという衝撃的な出来事から1カ月が過ぎた。
その移籍騒動をめぐっては、先代となる三代目竹内組組長で、現在は絆會若頭を務める金澤成樹会長が、移籍を決めた四代目竹内組組長に向けて発砲し、重傷を負わせるという事件が勃発。金澤会長はその後、全国指名手配されたものの、現在までその足取りは掴めていない。
だがここにきて、ある進展を見せることになった。
「発砲事件後、金澤会長を車である所まで送ったとされる組員が任意の事情聴取を受け、現場検証などに立ち会っていたのですが、10月27日に、その組員と別の幹部組員の計2名が、金澤会長を匿った疑いがあるとして、犯人隠避容疑で逮捕されたのです」(地元関係者)
別の幹部組員とは、金澤会長と最も近しい人物の一人として、発砲事件後すぐに名前があがっていた人物で、逮捕されたもうひとりの組員は、その幹部組員のところまで金澤会長を送り届けたのではないかと見られていた。そうした関係からも警察当局では、幹部組員の行方を追っていたようだ。ただ、いまだに金澤会長の行方はわかっていない。
「金澤会長については、水面下でさまざまな噂が流れている。対立する組織の幹部の命を狙っているなどという物騒なものもあるが、そのような第2、第3の事件が起きることはまず考えにくい。警察に追われている身で、なんの段取りもせずに、大物幹部を狙うような事件を実行できるかといえば、まず無理だろう【参考記事「神戸山口組でまたも幹部が引退」)(業界関係者)
また、この関係者は、このようにも話を続けた。
「金澤会長はヤクザとして相当な人物だといわれている。今回起こした事件が、2度と社会へと復帰できないような、長期の懲役が確実な事件ならまだしも、務めればいずれは帰ってこられるものだ。時期を見て、自ら“出る”可能性もあるのではないだろうか」
自ら出るとは、自首するという意味だ。
また、金澤会長が三代目竹内組の組長を務めていた時代、同組で若頭を務めていた幹部にも動きがあったようだ。同幹部は、竹内組が弘道会に移籍した後も絆會の直参として残っていたと言われていたのだが、先日、獄中から絆會の脱退を表明。竹内組へと復帰を果たしたといわれている。
絆會にとっては、最後の牙城ともいわれていた長野県内の勢力は、三代目弘道会や三代目司興業といった六代目山口組系へと復帰を果たしことになったのだった。
その六代目山口組では、三代目弘道会傘下である三代目髙山組・石原道明若頭が、名古屋市内の飲食店からみかじめ料を得ていた疑いで、愛知県警に逮捕された。同じ暴力団排除条例違反では、同組の南正毅組長も逮捕されており、受刑生活を余儀なくされていたのだが、獄中から指示を出していたとして、再び同条例違反で逮捕、起訴されている。
分裂騒動においては優勢が変わらない六代目山口組だが、同組織に向けられる当局の目はますます厳しくなっている。当局には、こうしたみかじめ料をヤクザの資金源として徹底的に取り締まり、組織を弱体化させようという狙いがあるのではないだろうか。
(文=山口組問題特別取材班)