赤から白、そして青になり、地球になった。というのは、約46億年前に誕生したとされる地球の色の変遷だ。誕生したばかりの地球はドロドロのマグマに覆われた赤。35億年前に生命が誕生し、その後、全球凍結によって白い地球に。そして、5億4100万年前にカンブリア大爆発という生物の多様化が始まる。恐竜の出現と絶滅や哺乳類の隆盛などを経て、16万年前にクロマニヨン人が登場。この長い時間の流れの中で地球も白から青へと変わった。この地球の歴史を日本でも地層から実際に見ることができる場所がある。
「チバニアン」認定のカギになった77万年前の磁場逆転とは
『地球進化46億年 地学、古生物、恐竜でたどる』 (高橋典嗣著、ワニブックス刊)では、地球が誕生し、原始地球が文明をもつ人類までに至った歴史を豊富なヴィジュアルとともに紹介する。
2020年、国際地質科学連合は、地球の歴史を表す地質年代の新名称に「チバニアン」を承認した。地質年代とは、地球が誕生した約46億年前から現在に至るまでの地球史を大小110以上の時代に区切ったものをいう。
チバニアンのチバは、千葉県からとったもの。千葉県市原市養老川沿いの露頭で約77万年前の地層が見られるのだ。地質年代の中の約258万年~1万1700万年前の時期が新生代の第4紀に分類され、この中の更新世中期のチバニアンは、77万4000年~12万9000年前にあたる。更新世のほとんどは氷河期になるが、チバニアンと命名された時期は、マンモスなどの大型哺乳類が生きる一方、現生人類のホモ・サピエンスが現れた時代とされている。
チバニアンが承認された決め手となったのが、「地層中にこれまでで最後の磁場逆転の証拠が記録されていること」だった。地球を大きな磁石と考え、S極とN極が逆転することを磁場逆転といい、地球では約360万年前から現在までに11回起きている。その痕跡は、当時の海底に積もった堆積物や溶岩に刻まれ、千葉のこの場所でも白尾火山灰という火山灰層から、地磁逆転が77万4000年前にあったと判明した。この火山層はかつて海の底にあったが、房総半島が地殻変動で隆起したことで、現在その地層が見ることができるようになったのだ。
他にも日本では埼玉県の長瀞や三浦半島の南に浮かぶ城ヶ島などで地球の変遷を見ることができる地層が存在している。地球の誕生からの進化を地学、古生物、恐竜でたどる本書。地球でどのようなことが起こり、現在に至るのかを学ぶことができる1冊だ。
(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。