4月16日付東亜日報国際面に「日本、『韓国は最も重要な隣国』表現を削除」という見出しの記事が掲載された。記事によれば、日本の外務省が最近、ホームページに掲載する韓国に対する記述で、「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」という表現を削除したことを、15日に確認したというのだ。
外務省のホームページの記述というのは、「国・地域」「大韓民国」「基礎データ」「二国間関係」をクリックすると飛ぶ、「政治関係」に関する次のような冒頭の一文を指す。
「日韓間には困難な問題があるが、これらを適切にマネージし、様々な分野で協力を進め、日韓関係を未来志向で前に進めていくことが重要」
特に問題のある文章だとは思えないのだが、記事を掲載した東亜日報によれば、外務省北東アジア課が定期的に更新するこの記述は、日本政府の公式見解を対外的に知らせるものだというのである。以下は東亜日報の記事の一部である。
「外務省が韓国の修飾表現(『戦略的利益を共有する最も重要な隣国』)を削除したのは、今年1月の安倍晋三首相の施政演説と軌道が一致する。安倍首相は2016年と2017年の施政演説で、『韓国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国』と述べたが、今年は特に修飾なく『文在寅(ムン・ジェイン)大統領と今までの両国間の国際約束、相互信頼の蓄積の上に未来志向的に新たな時代の協力関係を深めていく』とだけ述べた。これに対して、文大統領が15年の韓日の慰安婦合意の過程を検証し、『誤った合意』と規定したことに対する不快感が反映されたという分析が出ている」
では、実際に2017年と今年の施政方針演説を比較してみよう。
【17年1月20日の施政方針演説】
「韓国は、戦略的利益を共有する最も重要な隣国です。これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新しい時代の協力関係を深化させてまいります」
【18年1月22日の施政方針演説】
「韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とは、これまでの両国間の国際約束、相互の信頼の積み重ねの上に、未来志向で、新しい時代の協力関係を深化させてまいります」
確かに違っているが、これは果たして文在寅大統領の発言に対する報復措置なのか。15年の従軍慰安婦に関する「最終的かつ不可逆的に解決させる」という日韓合意に、あえて異を唱えた文在寅大統領に対する意趣返しなのだろうか。外務省関係者がこう語る。
「『最も重要な隣国』という文言を削除したのは、安倍首相の1月22日の所信表明演説の表現に合わせたものだと思います。韓国が『最も重要な隣国』であることに変わりはなく、表現を変えただけじゃないですか。15年の日韓国交正常化50周年の年に外務省北東アジア課がまとめた『最近の日韓関係』という文書にも、日韓関係の基本的考え方として、『最も重要な隣国』から『重層的・未来志向的な協力関係』を進めることが重要と書かれている。これは安倍首相の今年の施政方針演説とも軌を一にしていますからね」