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減反政策廃止で米の生産にどんな変化があるのか
米の生産は今年、一大転換期を迎えている。政府が半世紀近く続けてきた米の生産調整、いわゆる減反政策を今年から廃止した。農家が自らの意思で作付けを行っていくことになったのだが、2018年度の主食用米の生産に関しては、36都道府県が前年並みで、増加は6県にとどまった。農家の高齢化と人手不足で作付けを増やせないという理由に加え、増産すれば取引価格の低下を招くことから慎重になっている農家が多いという。
「減反政策の廃止は、政府としては、自由競争で農家の競争力を高めたいという表向きの理由のほかに、需要の高まりで価格上昇が続く業務用米の安定供給を図りたいという思惑があります。ただ、高級ブランド米は高値傾向です。17年産魚沼産コシヒカリの取引価格の平均が60キログラム・2万719円、ゆめぴりかが同1万7370円など、前年産を上回る価格となっています。ブランド米の価格が高値安定している以上、農家は家庭用米から離れないとみられています」(同)
17年産全銘柄の平均価格は、玄米60キログラム当たり1万5591円。前年の1万4307円を1284円上回っている。ちなみに、もっとも高い魚沼産コシヒカリ(2万719円)と、最安値の中国地方産ヒノヒカリ(1万3385円)では、金額で7334円と1.5倍もの価格差がある。
減反政策の廃止で主食用米の生産量、取引価格、そしてブランド格差はどう変化していくのか。うまい米の多様化で、国民の米離れに歯止めはかかるのか。農家だけでなく消費者にとっても見過ごせない問題である。
(文=山田稔/ジャーナリスト)
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