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『警告書を渡すだけなんて生ぬるい』『すぐに取り締まればいいのに』と思われるでしょうが、無車検車両の運行には過失犯の処罰規定がないのです。つまり、ドライバーが『あっ、車検切れてたの気がつかなかった』と言ってしまえば処罰できません。そのため、まずは警告するということになります。一度警告した事実があれば、さすがに次は『気づかなかった』では通りませんから、取り締まることができるようになるわけです」(今井氏)
だが、実は新装置に類似する機能を有するシステムを、警察はすでに持っているというのだ。
「国交省が持っている膨大なデータとナンバーを照合すれば、すぐに車検切れの違反車を特定できます。とはいえ警察も、自動ナンバー読み取り装置『Nシステム』などによって、すでに大量のナンバーを読み取れるし、データも持っています。ですから国交省の新装置がなくても、国交省が車検切れ車両のデータとナンバー照合のためのソフトを警察に貸与すれば、実は警察だけでも街頭検査は行えるはず。
要するに、国交省が警察に頼むのが一番手っ取り早く効率的なんです。しかしそれをしないのは、その行為が国交省の仕事を警察に与えることになる、つまり予算を警察に渡すことにもなるからだと、私は推察しています。そのため、官僚組織である国交省がわざわざ人員を割いて担当者も現場に出張らせているのでしょう」(同)
新装置導入も、違反に対する直接的な抑止力にはならない?
では、新装置の導入は人々にどのような影響をおよぼすのだろうか。
「私はこれまで8000件以上の裁判を傍聴しており、無車検・無保険の事件も数多く傍聴してきました。そうした裁判を見ていると、車検切れで車を運転している人は、貧困で車上生活をされている方や、フリーで建設現場の職人をされている方が目立ちます。そして『今度お金が入ったら車検を取ろうと思っていた』『まあいいだろうと思っていた』などと証言することが多いんです。そういう人たちが、国交省が新装置を使い始めたと知ったからといって、『車検切れは危険だからやめよう』とは、ならないと思います。ですからこの装置を運用したとしても、それによって車検切れに対する抑止力が働き、車検を取る人が増えるという直接的な効果は薄いだろうと感じています」(同)
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